今年の大河ドラマ『べらぼう』の主人公は、蔦屋重三郎(つたや じゅうざぶろう)ですね。
まあ、「江戸のメディア王」との触れ込みですが、マイナーな存在というか、世間一般の認知度は低いのではないでしょうか。
この話題を耳にして、『タケちゃんマン』のテーマを思い浮かべてしまいましたよ。
例の、「今日は吉原、堀の内~ 中州、ススキノ、ニューヨーク~ 強気を助け、弱きを憎む、、、、」という一節。
歌詞の中の「ニューヨーク」は「入浴」とかけているんでしょうけど。
蔦重と言えば、吉原、出版・浮世絵、歌麿、写楽、、、、
というわけで、今回は『べらぼう』を楽しく視聴するための背景知識などを少しばかり。
◎蔦屋重三郎(1750~1797)
演じるは横浜流星。
蔦重本人は、吉原生まれの吉原育ち。
江戸の出版ビジネスや浮世絵の世界に革新を起し、大活躍した人物。
あの有名な歌麿や写楽を見出し、プロデュースした凄腕の版元。
その人脈たるや、平賀源内、十辺舎一九、曲亭馬琴、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎などなど、まさに綺羅星のごとし。
いや~、凄いですね。
ドラマでも平賀源内との交流が描かれています。
1774年に刊行した、吉原細見『細見嗚呼御江戸』の成功で頭角をあらわし、数年後には「耕書堂」という自身の店を立ち上げました。
その後の具体的な活躍は、ドラマ『べらぼう』にてご覧ください、ってNHKの回し者じゃないって!
◎吉原
吉原とは、江戸幕府公認の遊郭。
なんと、早くも1613年には営業を許可されております。
幕末にいたるまで、江戸における唯一の公認売買春地区でした。
その面積は、およそ二万坪。
遊女の数は、少ない時期でも二千人ぐらいで、多い時代には五~六千人もいたと言われております。
遊女屋以外にも、茶屋、酒屋、小間物屋、薬屋などもあり、一つの町として機能していたとのこと。
綾瀬はるかさんが声を演じる「九郎助稲荷」も吉原の南東隅にあったお社で、遊女たちの篤い信仰を集めたことで知られています。
吉原については、また記事にする予定です。
◎田沼意次(1719~1788)
ドラマでは渡辺謙さんが演じております。
1767年に側用人、1772年には老中となり、辣腕を振るいました。
大雑把に言うと、八代将軍吉宗が主導した享保の改革における重農主義を修正して、重商主義へと転換したのが意次の政策です。
とりあえず、二つばかり紹介しますと
*株仲間の公認⇒株仲間(=同業者組合)に仕入れや販売の独占権を与える見返りに、営業税(=運上金・冥加金)を徴収。
*南鐐(なんりょう)二朱銀(にしゅぎん)の発行⇒ドラマ内で、平賀源内が高く評価していたもの。
銀貨なのに金貨の価値を持つという優れもので、当時の金貨不足を思うと適切な政策であったと考える専門家は多い。
おそらく、今後も『べらぼう』が進展するにつれて、田沼時代の経済政策が登場することでしょう。
まあ、せっかくですので、解説抜きで、ごく簡単にもう少しだけ以下に挙げてみます。
⇒幕府直営の座を新設、長崎貿易の拡大、蝦夷地調査、国産砂糖生産を奨励、朝鮮人参の国産化などなどです。
◎平賀源内(1728~1780)
しばしば、「日本のダ・ヴィンチ」と称される、多芸多才すぎて枠に収められない天才。
本草学者、地質学者、蘭学者、医者、戯作者、浄瑠璃作者、俳人、発明家、、、、
ドラマでは、鉱山開発に携わる姿が描かれています。
鳩渓(きゅうけい)、風来山人(ふうらいさんじん)、天竺浪人(てんじくろうにん)など数多くの号を使い分けました。
劇中では、「貧家銭内(ひんかぜにない)」を名乗っていましたよね、確か。
江戸でも有名な同性愛者であったとのこと。
歌舞伎役者をひいきにしていて、特に、二代目瀬川菊之丞との関係はよく知られており、『べらぼう』でも源内が瀬川の舞稽古を愛でる場面がありました。
同時期の多くの戯作者に大きな影響を及ぼし、一九の『東海道中膝栗毛』や式亭三馬の『浮世風呂』も、源内の存在がなければ、現在の我々が見る形での完成はなかったと断言する研究者もいます。
また、浮世絵が多色刷りの華麗な版画へと進化したのも、源内によるところが大きいと専門家は指摘しています。
ホント、まさに「日本のダ・ヴィンチ」ですね。
◎第二弾もあるかも、、、、
今回、「その1」とタイトルに付けてしまいましたが、第二弾を作成するかどうかは未定です。
ただ、吉原のことはもっと情報を提供したいなとは思っています。
劇中で頻繁に耳にする「忘八 ぼうはち」という言葉も記事にしたいし、田安賢丸(たやすまさまる=後の松平定信)や御三卿に関しても少し、触れてみたいとも考えておりますので。
と、ここまで書いてはみたものの、「常連さんたちが、『べらぼう』を視聴していなかったら、この記事は意味ないよな~」と心中で呟いた次第でございます。
ハハハ。