いや~、大河『べらぼう』は実に面白い!
ホント、久々に毎回欠かさず見たくなるドラマだな!
石坂浩二(=松平武元=白眉毛)と渡辺謙(=田沼意次)が、例の「手袋」の件で対峙する場面の緊迫感。
石坂の「そなた、、以外の、、、、」のセリフ。
名優、石坂の間の取り方が絶妙ですな!
また、100%自分が疑われていると感じ、萎縮する渡辺謙が、ホッと安堵した時の表情。
脚本も優れているし、それに応える石坂と渡辺の演技力が光っている。
まさに、横綱相撲。
当ブログが『べらぼう』に魅了される理由のひとつは、この時代があまり映画やTVドラマで描かれていないという事実。
時代劇は、戦国時代から江戸初期、幕末から明治維新などが題材になることが多い。
だからこそ、これまで賄賂政治の代名詞であった田沼時代に新しい光を当てた本作は新鮮で、好奇心をくすぐってくれる。
それゆえ、あまり馴染みがない登場人物に対しては「よし、ひとつ調べてみようか」という気になるのだ。
例えば、石坂演じる「白眉毛」こと、松平武元(まつだいらたけちか 1713?~1779)などが、その具体例。
正直、『べらぼう』を観る以前には、この老中のことは何も知らなかった。
しかしながら、今回、多少なりともこの頑固爺さん(?)についての情報を仕入れてみた。
水戸徳川家の庶流である石岡藩三代藩主、松平頼明(まつだいらよりひろ)の次男に生まれる。
徳川吉宗・家重・家治の三代に仕え、老中を33年間務めたが、そのうちの15年間を老中首座として幕政の中心にあった人物。
なんと、ドラマでは石坂浩二(=松平武元)までも毒殺されてしまう。
田沼意次と共闘体制を組んだ矢先のことで、「せっかく、これから二人で力を合わせるはずが、、」と視聴者に思わせる脚本家の腕の冴えには痺れた。
一連の暗殺を仕切る黒幕は、どうやら、生田斗真(=一橋治済 ひとつばしはるさだ)のようだ。
生田斗真の不気味な笑顔や、時折見せる、ほのぼのとした雰囲気を装った佇まいも、実にいい味を出している。
この人も力のある役者だな、と唸ってしまう。
さて、安田顕(=平賀源内)の最後をどんな顛末にするのかと、いろいろ予想を立ててはいたのだが、、、
なにやら、源内も毒を盛られたのかと思わせる場面が挿入された、4月20日放送分。
本物の源内の死因に関しては、「破傷風による獄死」と一般には言われているものの、真相は不明。
源内入獄の理由にしても、男色がらみの痴情のもつれだとか、自作の図面を大工に盗まれたと勘違いしたからだとか、諸説ある中で、脚本家・森下佳子氏は、「死を呼ぶ手袋」を本のネタに使おうとした源内が黒幕に嵌められたとの設定に仕立てている。
劇中に、タバコで源内に取り入る自称「大工」や源内作の「図面」も絡めてくるあたり、この作家さん、ただ者ではございませんよ。
しかも、源内を虜にした「タバコ」には、アヘンか何らかの麻薬が仕込まれているな、と視聴者に気づかせる演出。
幻聴に戸惑い、怯え、狂乱する安田(=源内)の鬼気迫る演技も、ゾッとするほどのリアルさ。
辞世の句「あめつちの手をちぢめたる氷かな」を詠んだ源内の寂しい姿と何者かが置いた湯呑。
う~ん、NHKもやるねえ、さすが「皆様の受信料で不倫をしています」がキャッチフレーズだけのことはある!
って、話がチョットずれたか、ハハハ。
まあ、不倫するのはNHKの女子アナだけじゃないけどね。
いかん、いかん、『べらぼう』に話をもどそう。
今後の見どころを、勝手に予想しながら、列挙してみると
⇒生田斗真(=一橋治済)が、この先、どんな手練手管を揮って政敵を倒し、長男・家斉を将軍に据えていくのか
⇒渡辺謙(=田沼意次)の息子、宮沢氷魚(=田沼意知)が斬られた史実をどのように描くか
⇒まだ火付け盗賊改に就いていない中村隼人(=長谷川平蔵)が、今後「鬼平」としていかに活躍するのか
⇒歌麿、写楽、石燕などの大物浮世絵師がいつ登場し、横浜流星(=蔦屋重三郎)とタッグを組み、頭角を表していくのか
などなど、今後の展開をいろいろと楽しく想像しているところ。
その一方で、渡辺謙(=田沼意次)が失脚するのは史実だから仕方がないものの、田沼役の渡辺が渋い演技をみせてくれるだけに、退場する(?)のが残念でならない。
それに代わって、松平定信が老中として、例の「寛政の改革」を行うことになる。
さて、寺田心(=田安賢丸=松平定信)が、そのまま松平定信を演じるのか、それとも、別の俳優にバトンタッチするのか、その辺は知らない。
いずれにしても、本当に今年の大河『べらぼう』は、個人的には大ヒットだと思う。
やはり、この時代と登場人物が、観るものに斬新なインパクトを与えるのが大きな魅力だ。
蔦屋重三郎を主人公にして物語を創作するとは、原作者の森下佳子さんは慧眼だ。
NHKも偉い!
よくぞ、遊郭が舞台の大河ドラマを制作する気になったものだ。
さすが、下半身が緩いアナウンサーが多い放送局だけのことはある!
冗談はさておき、今回のNHKの英断には嬉しい驚きを感じている。
ちょっとだけ、見直したぞ。
こういう番組をドンドン提供してくれるのなら、受信料も惜しくはない。
ということで、これからも、毎回必ず視聴することは間違いなし。
期待しているぞ~、日本放送協会さん。