OSO18と南方熊楠

OSO18。
今、話題のヒグマ。
ここ数年間で六十頭を超える牛を襲い、うち三十頭以上を殺したとされる。
最初の被害が発覚した場所、北海道標茶町オソツベツの地名と、前足の幅が18センチメートルであることから、OSO18と命名された。
当初、かなりの巨大ヒグマで、姿を見せないため、「忍者グマ」とも呼ばれている。

ところが、最近の調査では、前足の幅は15~16センチであると訂正され、体長は約2メートル20センチ、体重は約300キロと推定。
一般的なヒグマの成獣と変わらないらしい。

と、ここで、このヒグマと南方熊楠になんの関係が?
直接の関係はもちろん無し。
ハハハ!
申し訳ない。

志村真幸『未完の天才 南方熊楠』の中で、南方熊楠が『NOTES AND QUERIES』への投稿にペンネームを使っていた時期があり、それが「オソ・イ・アルカンフォラーダ」というものだという記述があった。
調べてみると、実際の綴りは、OSO Y ALCANFORADA。
これは、スペイン語らしく、OSOは熊、Yは英語ではANDにあたるもの、ALCANFORADAは楠を意味する。
つまり、このペンネームは「熊楠」をスペイン語に直訳したものである。
厳密には、「熊と楠」の直訳か。

これを読んで、スペイン語で、OSOが熊を意味すると知り、オソツベツからとったOSOとの偶然の一致に少しだけ驚いた次第。
スペイン語なら、OSO18は「熊18」となりそう。
まさかとは思うが、もしかして、OSO18の命名者はスペイン語の知識があるのでは?

しかしながら、南方熊楠に関する書籍を読んでいて、今話題のOSO18を連想させられるとは。
熊楠が本物の「熊」を呼んだ?、と妙に納得。

志村氏の著作によると、熊楠がOSO Y ALCANFORADAのペンネームを使ったのは、その当時(1925~26年)、雑誌『N&Q』の購読料が支払えず督促を受けていたそうで、変名を使うことでごまかそうとしたのではないか、と推測しているが、、、
はたして、真相はいかに。

いずれにしろ、今回、ひょんなことから、小ネタが一つ増えたし、スペイン語の単語を三つ覚えることができた。
熊楠に感謝!