「ミスター絶倫」青木部長、満を持して登場! ~ テーマは密教の性典『理趣経』です!

手前みそな言い方になるが、当ブログの常連は多彩な顔ぶれだ。
絶対王者川口、老師、修行僧、ノーちゃん、ポロリンのS、心理学者、、、、
今回、ついに、あの男が登場する!

青木部長:もう、ちょっと~、なんで俺を呼んでくれないんだよ~、王者とか老師とかばっかり優遇してさ~。

ブログ主:いや、青木部長は何と言っても「お盛ん」だから、昼は部長として仕事をバリバリ、そして夜は「ミスター絶倫」に早変わりだろ~。
寸暇を惜しんで、日々「実践」に励んでいるから、邪魔しちゃ悪いなと思ってね。

青:まあ、それはそうだけどさあ、声がかからないのは寂しいものがあるよ。
でさ、岡谷修行僧は『般若心経』の行者と化したんだろ、なんか噂では。
実は、俺の場合も、とあるお経が人生の指針となっているんだけど、、、、、なんだか、わかる?

ブ:うん、ずばり、『理趣経』だろ。

青:お見通しだな、ハハハ。
何と言っても、人間の「性」を肯定した『理趣経』は、最高の経典だよな。
一般に、仏教だけでなく多くの宗教は、「性」に関しては禁欲的な態度をとるというか、ある意味でタブー視して触れたがらない傾向があるようだが、「性」を否定したら、そもそも人間自体が存在しなくなってしまう。

ブ:部長の言う通りだ。

青:だろ?
大体、釈迦なんてな、若いころから衣食住で何不自由ない暮らしをしてるし、身の回りには国中から選りすぐりの美女が仕えているし、、、なんせ小さいとはいえ、一国の王子だからな。
さんざん、いい思いをして、やりたい放題やってから、出家したわけだ。

ブ:それも、確かに、部長のご指摘通りだけど、、、、あんまり、大っぴらにそんなことを言うとな、、、

青:いいんだよ。
散々、自分はいい目をみて、もう満足したって感じで、家も家族も捨ててさ、修行に出るんだから、、、
ずいぶん、自分勝手な人間だよな。
あと、研究者によっては、「釈迦は女嫌いであった」とか主張するものもいるけど、、、
なんにせよ、釈迦仏教の「堅苦しさ」に比べれば、密教経典に属する『理趣経』は、ホント素晴らしいよ!

ブ:なんか、力が入っているね~。
まあ、釈迦仏教が「堅苦しい」かどうかは、置いといて、『理趣経』の教えが原始仏教とは相当、趣が異なるのは事実だな。

青:そうだよ。
青臭い釈迦仏教と違い、『理趣経』のなんと大らかなことか。
まさに、「妙適清浄句是菩薩位 欲箭清浄句是菩薩位、、、、、、」だよ。
要は、「男女の性の快楽は、本来清浄なものであり、菩薩の境地そのものだ。性の快楽を得ようとする欲望も、その本性が清浄だから、菩薩の境地そのものだ」と説いているんだな。

ブ:う~ん、部長、気合が入ってるね。
サラッと、文言が出てくるあたり、かなり読み込んでるとみた。

青:当たり前だろ~、毎日、読経してるよ。
「触清浄句是菩薩位 男女の抱擁は、本来清らかなものだから、菩薩の境地そのものだ 愛縛清浄句是菩薩位 恋愛して男女が結ばれるのは、その本性が清浄だから、菩薩の境地そのものだ、、、、

ブ:いったん、止めようか、部長、そのへんで。
しかし、部長が高評価するのも、当然と言えば当然で、真言密教では毎日、朝夕に欠かさず『理趣経』を読誦しているほど大切な聖典だからな。

青:そういうこと。
あと、本来は「聖典」の表記を使うのが正しいのだろうけど、俺個人としては、内容から考えて「性典」としたいところだな。
さて、日本の密教と言えば、真言宗と天台宗だけど、実は、空海と最澄の間には『理趣経』をめぐる因縁があるんだよ。
知ってるだろ?

ブ:両者の確執というか、二人の巨人が、貸し借りを巡って決裂したきっかけとなった例のアレだな?

青:それだよ。
周知のとおり、『理趣経』を日本に最初に持ち帰ったのは最澄の方だ。
しかし、『理趣経』の注釈書である『理趣釈経』(=理趣釈)は空海しか入手できなかったんだよ。

ブ:その辺の細かい点は、あまり調べてないんだよ。
ちょっと、解説してくれ。

青:おうよ。
そもそも、『理趣経』をサンスクリット語の原典から漢訳したのは、あの有名な学僧の不空(ふくう 705~774年)だ。
不空は、『理趣経』はごく限られた優秀で資質に恵まれた者にしか伝授してはならないと定めたんだ。
さらに、『理趣経』を学ぶ際には、不空が著した『理趣釈経』を必ず参照しながら行うことを必須の条件としたんだよ。

ブ:じゃあ、あれだな、最澄が空海から借りようとしたのは、注釈書の『理趣釈経』の方で、それを空海が断ったんだ。
それで、あの二人の高僧が仲違いしたというわけか。

青:そういうことだ。
まあ、両者それぞれに言い分があって、その記録も残ってるよ。
今回は、そこまでは紹介はしないけどな。

ブ:しかし、従来の仏教とは大きく異なって、人間の「性」や「快楽」を全面的に肯定する『理趣経』には様々な評価があるだろうし、何というか、取り扱いを慎重にしなきゃ、と不空が考えたんだろうし、空海もその立場を継承したともいえるのかな。

青:まあ、そうだろうな。
でも、俺に言わせれば、不空も空海もケツの穴が、、、おっと、スケールが小さいよな。
真言も天台も、「理趣経は性典です。人間賛歌のお経です」とハッキリと言えばいいんだよ。
で、俺みたいに、じゃんじゃん実践すればいい。
いっそのこと、俺が『理趣経』を根本経典にした宗派を新たに、立ち上げてもいいな~。

ブ:さすが、部長、志が高い!
ぜひ、やってくれよ。
そうしたら、もう「部長」じゃなくて、「開祖」と呼ばせてもらうよ。

青:う~ん、「開祖」か~、いい響きだな。
一丁、本気で考えてみるか。
「一切自在主清浄句是菩薩位 見清浄句是菩薩位、、、、、、

ブ:いや~、やる気満々だね~、いいぞ、「開祖!」