世にも恐ろしいフランス革命の血塗られた軌跡を紹介するシリーズの第二弾。
1787年、財政難に苦しむフランス国王は免税特権を持つ貴族に対して課税しようとした。
これに、貴族が反抗したために、王権は麻痺してしまう。
これが、フランス革命の口火となった。
つまり、革命の契機は、国王と貴族層の権力闘争や利権争いにあったということ。
それに、外交問題や経済問題、さらには野心家の陰謀や貧民の一揆などが絡んだ一種の「血なまぐさい内戦」が革命の実態であり、単純に「自由と平等を実現した市民運動」でもなんでもないのは、近年の研究では常識となっている。
ところが、日本の不勉強な左翼やリベラルは無邪気というか、能天気というか、「フランス革命は、市民革命だ。なんと、素晴らしいことか!日本には、市民革命がない。日本はダメな国だ」などと的外れなことをのたまっている。
本当に、救いようがないほど知的水準が低い連中だ。
さて、国王に歯向かった貴族たちは、「全国三部会」の招集を要望した。
この全国三部会とは、第一身分(聖職者)、第二身分(貴族)、第三身分(平民)という三つの身分の代表者が全国から集まって開く会議のことである。
*1789年5月、全国三部会が開催された。
貴族は、この三部会を意のままに主導することで王権を制限し、国政の実権を握ろうとしていた。
ところが、第三身分(平民)の代表たちが、旧体制の変革を求めてくる。
平民の指導層は、議決方法をめぐって、聖職者と貴族に異議を唱えた。
そして、平民の代表は自分たちこそが「国民の代表」であると主張して、「国民議会」と名のり、憲法制定まで解散しないことを誓った。
これを、「球戯場の誓い」という。
この動きを見て、聖職者や貴族からも国民議会に合流するものが出てきたため、国王も譲歩して、三部会は解散。
7月9日、国民議会は正式に、「憲法制定国民議会」と改称した。
*平民は一枚板ではなく、「分断」されていた。
日本の左翼やリベラルの大部分は、「フランス革命は、平民全体が連帯して、王の圧制を倒した。なんと、素晴らしいことか。それに対して、日本はダメだ」などと無知丸出しの戯言をほざくのが大好きだ。
ホント、連中の頭のほどときたら、、、、
さて、何にも知らない日本の左翼やリベラルのために、少し説明する。
当時のフランスの人口は、専門書により、2300万~2700万人と多少、違いがあるが、、、
聖職者と貴族が、人口の約2%。
平民が98%で、そのうち都市生活者が20%で、78%が農村というか田舎の住民だという。
当然、平民の中にも貧富の差は存在するし、教育レベルもそれぞれ違う。
要は、金持ちもいれば貧乏人もいるし、知識人もいれば、文字を読めないものもいた。
当時の識字率は、ある研究では、男性が47%で、女性が27%だという。
当然、平民の中に、「断絶・分断」は厳然と存在した。
前段で、平民の代表が、「憲法制定を求めた」話が出てきたが、字も読めない一般庶民に、「憲法」を起草する能力があるはずがない。
平民の代表を務めたのは、第三身分の中の富裕層や知識人層である。
この金持ちとインテリが、一般には「ブルジョワ」と呼ばれている。
ある書によると、都市のブルジョワがフランス総人口の10%で農村部のブルジョワが13%だそうだ。
そのブルジョワ中の一部が、自分たちの利益を第一に考えて、「三部会」⇒「国民議会」⇒「憲法制定国民議会」という流れを作っていったのである。
そのごく一部のブルジョワにとって、都市部や農村部の一般庶民や貧民たちの利害など眼中になかった。
日本のおめでたい左翼やリベラルが思うような「平民が一体となって、王権を倒した」のがフランス革命ではない!
最初は、貴族が国王に反抗して、その後、三部会を経て、一部の野心的なブルジョワが自分たちの利益第一でことを進めようと画策し、数々の陰謀をめぐらしたのが実態である。
革命初期の指導者バルナーヴも、ジロンド派の指導者ロラン夫人も、あの恐怖政治の代名詞であるロベスピエールも、全員がブルジョワの出身であり、庶民でも貧民でもない。
この連中の頭の中には、一般民衆のことを慮る気持ちなど、欠片もなかった。
*7月14日、バスティーユ牢獄襲撃・占領!
国民議会が憲法制定国民議会と改称されてから、ほんの数日後の7月14日に、パリの民衆が蜂起してバスティーユ牢獄を襲撃し占拠する。
いよいよ、流血の開始!
バスティーユ牢獄襲撃・占領の直後、民衆は地方長官などを襲撃して殺害する。
殺戮に酔った民衆は、血まみれの生首を槍の先につけて、市中を練り歩いた。
なんとも、凄惨な話。
牢獄襲撃の背景については、次回に回すことにしたい。
ということで、その3に続く。
追記
前回と今回と読んでくれた常連さん方は、ちょっとクドイなと思われたかもしれない。
ブログ主の左翼やリベラルに対する揶揄が、、、
申し訳ないが、皆様方の忍耐力と好意に甘えているような次第。
ただ、とにもかくにも、日本の左翼やリベラルが不勉強のくせに、フランス革命を神聖視する一方で、日本社会を貶めているのが辛抱ならないのである!
というわけで、その3でも、左翼とリベラルの無知を笑いものにする予定。
悪しからず。