ヤマカガシの毒には幻覚作用がある?! って、おい、忍者か!

最近、当ブログで何度も登場したヤマカガシ。
興味の赴くままに、いろいろ調べてみると、驚くべき情報が!
な、なんと、ヤマカガシの毒には「幻覚作用」があるというのだ!

周知のとおり、ヤマカガシは二種類の毒を持つ。
牙から出す毒と、首のあたりから噴出する毒と。

前者は、多くの毒蛇と同様のタンパク毒であり、後者はヤマカガシ独自の強心性ステロイド(ブファジエノリド)である。
このブファジエノリドはヤマカガシが体内で合成しているのではなく、餌とする有毒のヒキガエルを食することで取り込んでいる。

ヤマカガシはヒキガエルから摂取し蓄積した毒を頸部の毒腺から分泌する。
すると、ヤマカガシが休息している時でも、天敵や捕食者が近づいてこないという。

また、風上のヤマカガシが風下の獲物に狙いを付けた際に、この毒を頸部から噴出すると、気化した毒が獲物を「幻覚状態」にするとの研究もあるようだ。

もしかしたら、「蛇に睨まれたカエル」というのは、ヤマカガシの毒で幻覚を見せられて呪縛されたような状態のカエルのことなのかもしれない。
(この件に関しては、諸説あるようだ。また、別種のヘビの場合は当然、事情が異なるはず。マムシやアオダイショウは幻覚毒を持っていない)

もし、人間が野生のヤマカガシの幻覚毒攻撃を受けたら、どうなるのか。
ある研究団体は以下のような仮説を立てている。

⇒もし、2メートルほどの大きなヤマカガシが人間に相対したら、人間はヤマカガシの幻覚毒により、そのヘビを実際よりもずっと大きく感じてしまったかもしれません。こうして、山で10メートル以上の大蛇に出くわした、といった体験談が多く残ることとなったのかもしれません。

山中で信じられないくらい大きなヘビに遭遇した話といえば、当ブログ「読書感想」で三冊とも紹介した『山怪』シリーズだ。
ビール瓶よりも太い大蛇、消防ホースぐらいの大きさ、などの描写が『山怪』には何度も登場する。
もしかしたら、『山怪』の証言者たちは、ヤマカガシの幻覚術にだまされていたのかもしれない、、、って知らんけど。

では、ここで、『山怪 参』から、少し引用したい。

「こんな奴だったなあ。ビール瓶よりもかなり太いんだ。そいつが通ると草がべったり倒れて溝みたいになるんだよ。色はそうやなあ、ヤマカガシに似とったなあ。それくらいのヘビはおるから」(引用おわり)

また、『山怪』からも引用する。

「太さが、そうですねえ。ビール瓶より大きかったんじゃないかな。ごつい男の人の腕みたいな感じでしたね」
「それは、青大将でしたか」
「いや、ヤマカガシでしたね」(引用おわり)

引用した二例とも、どうやら、その大蛇の正体はヤマカガシのようだ。
本当に異常なまでに巨大だったのか、それとも、幻覚作用のなせる業か?

『山怪 弐』には、もっと不思議な話が収録されている。
本来、鳴くはずがない蛇が、ピーピーとよい声で鳴いていたという。
しかも、とてつもない大蛇が。
これも、少し引用する。

「いや、それがでけえのな。口から舌ぺろぺろ出してんだけんども、その舌がタバコくれえあるんだよ、太さが」
頭はソフトボールくらいもあるだろう。不気味に動く舌先は、何と三つに割れているではないか。そしてその大蛇こそが、あのピーピーという鳴き声の主だったのだ。
青柳さんは必死で飛び起きると、手にした棒で蛇に滅茶苦茶に殴りかかった。その後辺りを探したが、それらしい蛇の死体は見つからなかったのである。
「知り合いによ、あの辺りには絶対に殺せない蛇がいるって聞いたばかりだったんだ。そんな馬鹿なことがあるかって思ってたからなあ、驚いたよ」(引用おわり)

頭がソフトボールくらいもある大蛇がピーピー鳴くなど、普通ではなかなか信じがたい。
また、棒で滅多打ちにしても死なないとは、、、、

ただし、これがヤマカガシの幻覚術だと仮定すると、説明はつく。
「ピーピー」という鳴き声は、幻聴。
大蛇そのものも幻覚だから、いくら叩いても死ぬはずがない。

当ブログは、蛇の毒に関しては全くの門外漢であるから、軽率な判断はしたくない。
山中で大蛇に出くわす話が、ヤマカガシの幻覚毒が見せる白日夢だと断定するものではない。
あくまで、そういう説があるという事実を紹介しただけだ。

それにしても、ヤマカガシさんよ、あなたは本当に興味深い存在だ。
いろんな話題を提供してくれる。
おかげで、今回もブログネタとして活用させてもらった。
感謝。