久しぶりに、面白いニュースを見つけた。
アフリカのボツワナ共和国のマシシ大統領が「ドイツに象を2万頭、送り届ける。要らないなどとは言わせない!」と大激怒しているらしい。
いや~、マシシ大統領、素晴らしい!
ぜひ、実現させてください。
応援しています。
事の発端は、ドイツがハンティングトロフィーの輸入を禁止しようとしたことにある。
ハンティングトロフィーとは、ハンターが仕留めた動物を毛皮やはく製や角などといった記念品にしたもののこと。
ドイツは、EUの中でもハンティングトロフィーの輸入が極めて多いという。
事実、ボツワナの像狩りツアーのお得意様はドイツ人とアメリカ人らしい。
ボツワナは、2021年には像狩りビジネスで約270万ドルほど得ている。
お金だけの問題ではないようだ。
ボツワナに生息する象は、現在、約13万頭であり、年に6000頭ずつ増えている。
そのせいで、象による甚大な被害がボツワナ各地で報告されている。
アフリカ象は巨大な動物である。
最大体重は10トンに達する。
ある調査によると、年間およそ500人の人間が象に殺されているという。
人命だけではない。
農作物を食い荒らしたり、村を破壊する。
考えてみるといい。
数トンの野生動物が暴れまわったら、制御できるはずがない。
しかも、単独行動だけではない。
多くの場合、象は10頭前後から最大で70頭の群れを成してアフリカの村に侵入して来る。
村人たちが丹精を込めて育ててきた農作物が一夜にして地上最大の動物の胃袋の中に消えてしまうのだ。
ボツワナ政府にとっては、像狩りツアーは外貨を獲得する手段であると同時に象の個体数を調整するための必要不可欠の方策でもある。
ドイツの環境相レムケ氏は動物愛護主義者である。
しかも、過激な愛護派らしい。
数年間、動物園の技術者として訓練を受けているから、素人から見れば動物の専門家だと映るのかもしれない。
ただし、飼育下の動物と野生動物が異なることも自明の理であるが。
ボツワナのマシシ大統領から見れば、レムケは一年中快適なエアコンの空調環境の中で暮らし、野生動物の被害から最も遠い場所にいる人間である。
大統領が腹を立てるのももっともだ。
「ベルリンにいながら、ボツワナに関してあれこれ意見を言うのは簡単なことだ。我々は世界のために、そして『レムケの党』のためにさえ、アフリカ象を保護しようと代償を払っている」とマシシ大統領は不満を露わにする。
野生動物保護を語る人間のほとんどは先進国の街中に住み、何不自由もない生活を送っている。
レムケにしろ緑の党の誰にしろ、現地で一度暮らしてみてはどうか。
一年間ぐらいボツワナに滞在して、農作業に従事してみるといい。
育てた作物を象の群れに食い荒らされる体験をしてほしいものだ。
マシシ大統領の言葉をもう少し紹介する。
「象の過剰繁殖によってボツワナが被った影響を見ずに、ハンティングを批判するのは不当だ」
「ドイツ人は自分たちも象と一緒に生活してみるといい。我々に象と共生しろと求めるならば。」
大統領の怒りはわかり過ぎるほどわかる。
ボツワナでは、象のせいで村々が破壊され、人々が踏み殺されている。
その事実を全く考慮せずに、ただ野生動物保護という自分たちのエゴを優先させる政策を推進しようとするレムケと緑の党。
人命よりも象の繁殖を優先する野生動物保護運動は極めて危険である。
この件に関しては、またの機会に、アフリカ象やドイツの狼や日本の熊などを絡めて、改めて記事にする予定であるが、、、
とにかく、先進国の一部の人間の我儘で多くの人々が苦しんでいるという事実を忘れてはならない。
マシシ大統領、陰ながら応援してしております。
まあ、二万頭は無理でも200頭ぐらい、レムケの自宅周辺にボツワナの野生象を放ってください。
慌てふためくレムケの顔が見てみたい。
追記
先述したように、この問題の根底には先進国の一部の人間が「動物保護・愛護」と言う名前の「ご都合主義=エゴ」を振り回している身勝手さが存在する。
この場合の「エゴ」とは、仏教的に言えば、「執着」であり「煩悩」である。
世界の過激な動物保護活動家たちは、自分のエゴに囚われるあまりに、想像力が働かないのであろう。
常識的な日本人なら、野生象に踏み殺されたボツワナ人の遺族の気持ちに寄り添うことができるはずだ。