坂本龍馬スパイ説の記事を読んでくれた絶対王者川口から対談しよう、との申し出があった。
長崎出身ゆえに、グラバーや坂本龍馬にはかなり興味がある様子。
さて、どうなりますことやら、、、
川口:この間の記事で、「坂本龍馬=スパイ説」が簡単に取り上げられていたけど割と面白かったな。やっぱり、長崎出身だからね~。龍馬の亀山社中は実家の隣の隣の町にあったんだよ。
ブログ主:へえ~、そうなんだ。なんか、地元民ならではのとっておきの情報はあるかな?
川:祖母がなんかいろいろ知っていたみたいなんだけど、子供のころは歴史にあまり興味がなかったからね。もっと聞いておけばよかったと、今更ながら思うよ。しかし、ネットで検索すると「龍馬スパイ説」って山ほど出てくるね。ただ、なんかイマイチつまんないのもあるよね。
ブ:例えば?
川:うん、「龍馬は土佐藩のスパイだった」とかいうのはひねりが無いよね。だって、龍馬はもともと土佐の人間だからね。それよりは、「イギリスのスパイだった」の方がまだ面白いよね。
ブ:グラバーがらみの例のやつだな。
川:龍馬は亀山社中を作ったり、イギリスから武器を買ったりしてるよね。その資金の出どころはどこか、とか考えるとグラバーから援助があったのではと想像するのも一理あるとは思う。英の密偵としての仕事の見返りに報酬を得ていたと推理する者がいてもそれほど不思議ではないのかな。
ブ:でさ、実は「龍馬は土佐藩と英の二重スパイだった」とか訳知り顔に語るやつもいたりしてね。
川:そうそう。なんかあったら、つなげてしまえってパターンね。案外、安直だよね。ただ、グラバーが幕末や明治維新の舞台裏で活躍していたのは事実だから。最初は幕府に武器を世話して、後に佐賀、土佐、特に薩摩と長州に売り込んだからね。薩長に対しては、汽船の秘密購入や英国への留学生密航の世話もしているから。
ブ:ただの武器商人という面だけではない人物ととらえた方がいいのかな。
川:なんか、「グラバー機関」とでも言うべき組織を持っていたんじゃないかという人もいるみたい。
ブ:それ!この前の記事で紹介した榊山潤の新聞随筆の中に、「グラバー機関の対日工作文書」の存在が示唆されていて、しかも、そのコピーが実在するとか書いているみたいだよ。
川:はあ~、本当かね~?
ブ:まあ、いろんな人がいろんな事を言ってるよ。
川:それだけ、グラバーや英公使のパークスが日本の幕末に深く絡んでいた事実から生まれたものだろうね。
ブ:うん。ほかになんか面白い話はあった?
川:毎度おなじみのフリーメイソン。龍馬は郷士だから、身分は低いのに、何故あれほど活躍できたのか?そのカギはフリーメイソンが陰で動いていたからだ、っていう説。
ブ:なんかあると、フリーメイソンやイルミナティとかの名前が出てくるんだよな。
川:それそれ、想像力の貧困だよね。もうちょっと工夫しろと言いたいよね。
ブ:どうせなら、もっと上手に嘘をついて欲しいよな。梶原一騎みたいにさ。
川:あ、それ、例の「死ぬときはたとえドブの中でも前のめりに死にたい」っていうセリフね、龍馬が語ったとされる。でも、実際は梶原の創作で龍馬はそんなこと言っていないという。
ブ:そう。いかにもありそうな架空の名言を生み出す能力は凄いよ。梶原一騎は天才だな。
川:同感。龍馬に話を戻すと、暗殺の真相にも諸説あるよね。龍馬スパイ説がらみだと、グラバーやパークスが仕組んだことになるけど。
ブ:「グラバー=黒幕」説の立場なら、そうなるのかな。要は、イギリス側が龍馬を使うだけ使って、そろそろ用済みの頃に殺したという話に持っていきたいんだろうな。
川:多分ね。でも、純粋というか熱烈な龍馬ファンからすれば、とんでもない話だよね。龍馬に心酔している層は絶対に信じないだろうし、怒っているはず。ただ、そもそも坂本龍馬ファンが多いのは、何といっても司馬遼太郎の力だと思う。
ブ:司馬の『竜馬がゆく』の影響だろうね。世間の坂本龍馬のイメージってほとんどあの小説から派生してるんじゃないの。あの作品以前は、それほど有名でもなかったみたいだし。
川:うん、だから冷めた見方をする人は、龍馬の功績に対して懐疑的だよ。おっと、これ以上言うと、全国の龍馬ファンを敵に回すことになるかな、、、
ブ:かもね、今回はこの辺にしとこうか。
川:そうだね。最後に一言。結局、龍馬は未完成のまま生涯を閉じているから、想像力をかきたてるというか、諸説唱えたくなるんだろうな。確かに、興味深い人物だよ。
ブ:さすが、川口、うまくまとめたね~、ハハハ。
追記
念のために書きますが、当ブログには「龍馬スパイ説」を広めようとする意図はまったくありません。
個人的には、この説には否定的です。