磯貝に焦りが見られる。
絶対王者の川口に、登場回数で優に2倍を超える差をつけられているからだ。
実は、磯貝と川口は非常に仲がいい。
それもあって、一種のやっかみか嫉妬のような感情が湧いているようだ。
こういう状態を、心理学エキスパートの西川ならどのように分析するのであろうか。
磯貝:「今日は、奥州藤原氏をテーマに大いに語ろうじゃないか。俺も今さんの『毒舌日本史』を入手したし、もともと関心があるから中尊寺にも行ったことがあってな」
ブログ主:「いいねえ~、じゃあ、磯貝のほうから口火を切ってくれよ」
磯:「おう、まあ、大雑把に言うと、奥州藤原氏に対する切り口は三つあるよな。人類学的見地、それに軍事面も含めて政治的にどう見るか、あと、忘れてはならないのが文化的な面からの分析と評価」
ブ:「続けてくれ」
磯:「まず、大昔は「蝦夷=アイヌ」と見なす者も結構いたみたいだけど、昭和25年の学術調査で藤原氏のミイラに科学の光を当てたんだ。その結果、藤原氏は標準的な日本人となんら異なるところはない、との結論が出たんだよ」
ブ:「やっぱり、藤原氏の遺体がミイラとして残っていたというのが大きいということか」
磯:「うん、ミイラから血液型や指紋まで検出されてね」
ブ:「へえ~、凄いな。ちょっと、質問だけど、奥州藤原氏が「藤原」を名乗る理由というか、根拠はあるのか」
磯:「もちろん、あるよ。初代の藤原清衡の父親が経清で、その経清さんは俵藤太の遠孫だからね」
ブ:「あ、俵藤太って、藤原秀郷だったな。あの、平将門がらみの、、」
磯:「それだよ。平将門の乱を鎮圧せよ、の命を受けて将門征伐に向かうっていう例の話。そのあと、鎮守府将軍を命じられて奥州へと赴いたわけだな。まあ、諸説あるらしいけど、奥州で生涯を閉じたとも言われているよ」
ブ:「なるほど、奥州藤原氏の祖が藤原秀郷なら、「藤原氏」を名乗ってもなんの問題も無しだな。となると、最初に戻るけど、結局は「蝦夷」ってなんなんだ? ミイラ調査から日本人と確定、しかも藤原氏で名門だろ」
磯:「まあ、いろんな説があるけど、要は例の中華思想を日本中心に当てはめて、当時の都から見て東北地方が東だから、「夷」は「東夷」からの影響じゃないかというのが有力らしいけどな。朝廷側が、自分たちから見て「東方」の人々を一方的に野蛮だと見なしていたんじゃないのかな。あと、語源的には、金田一京助はアイヌ語との関連を示唆していたりするし、学者によって学説が様々だな」
ブ:「う~ん、わかる気がするけど、、、なんだかな~、、、」
磯:「なんだ?なんか、おかしいこと言ったか、俺」
ブ:「いや、話の内容はよくわかるよ、ただ、今日は磯貝、なんか気合が入ってるな~と思ってさ。妙に饒舌だよな」
磯:「え、変なこと言うなよ。いつも、こんな感じだろ」
ブ:「まあ、いいか、じゃ、次に政治的な観点から解説してくれよ」
磯:「うん、まず、それまで西に偏っていたというか、京都中心の日本の歴史の中で、初めて別の地域に都に見合うような政治組織が生まれたという意味で、平泉は物凄く重要な位置づけになると思う」
ブ:「そうか、京都以外で大掛かりな都市というか文化というか、平泉以外に当時の日本には存在しないよな、確かに」
磯:「そうなんだよ。それが都の人間が野蛮だと見下していた東北の平泉に、あれほどの政治・文化組織を築き上げたという点がもっと評価されなきゃダメだよ。中部地方でもないし、関東地方でもない、あの平泉にだよ」
ブ:「やっぱり、今日は気合が違うな、いいぞ、磯貝!」
磯:「チャチャ入れんじゃないよ。あのな、初代の清衡という人物は、俺の印象では徳川家康タイプなんだよ。じっと機をうかがって、ここぞという時じゃないと動かない、その辺を心得た人だと思う」
ブ:「俺は、徳川家康は好きじゃないけどな。源氏じゃないくせに、「新田流れ」と詐称してるから」
磯:「おい、ちゃんと聞け、「タイプ」と言ったろ、「タイプ」と」
ブ:「大変、失礼いたしました、ハハハ」
磯:「わざとだな、この野郎~、で話を清衡に戻すけど、この人が建立したのが、あの「中尊寺」! 俺も行ったけど、最高だったな」
ブ:「あの「中尊寺」という名前に初代清衡の偉大さというか、スケールの大きさを感じるよな」
磯:「それそれ、例えば、阿弥陀三尊仏の場合、真ん中を「中尊」と言うよな、で、それに両脇立が左右に立って「三尊仏」ができあがるわけだ。だから、俺の解釈では、清衡が自分が「中尊」を建てるから、そのあとを息子に頑張ってもらってだな、、、」
ブ:「磯貝、話の腰を折って申し訳ないけど、今日はこの辺にしとこうぜ、そろそろ一杯やりたくなったよ。あなたの気迫に押されて、喉がカラカラ、頭もフラフラ」
磯:「あ?ただ、飲みたいだけだろ。吞み助め。しかたないな~、でも、まだまだ全然話が終わってないぞ」
ブ:「また、同じテーマで第二弾をやろうぜ」
磯:「いや、第三弾もやらなきゃ、奥州藤原氏については言いたいことを語りつくせないぞ」
ブ:「了解、じゃ、また機会を改めて」
追記
というわけで、今回はご覧のように、磯貝パワーが炸裂。
やはり、川口に対するライバル意識のようなものが胸底にメラメラと燃え盛っている様子。
第二弾、第三弾を乞うご期待!