「坂本龍馬=スパイ」説と「グラバー=黒幕」説の出どころは?

皆さん、どこかで「坂本龍馬はスパイだった」とかいう趣旨の記事を読んだことはないですか?
当方、かなり昔に、雑誌だかネット記事だったかでそんな内容を目にしたことを覚えています。

もう少し肉付けして紹介すると

⇒明治維新はイギリスの対日謀略だという説がある。
⇒その中心人物は長崎にいた武器商人のグラバーであった。
⇒グラバーの後ろ盾は英国公使パークスであった。
⇒グラバーは薩摩の有力者小松帯刀を抱き込み、そこから坂本龍馬を手なずけた。
⇒それ以来、龍馬は英国側の工作員として大いに活躍した、などなど。

まあ、大筋はこんな感じだと思いますが、その他にもバリエーションがあるかもしれません。

初めて接した時は、「なんか、珍妙な説だな~」くらいに感じて、その後あまり意識に上らなかったのですが、なんと、最近読み始めた書籍(著者は林房雄)の中にこの「坂本龍馬スパイ説」を紹介する文章が引用されています。

それは、『朝日新聞』(昭和38年9月1日付)に発表された歴史随筆。
その作者は榊山潤という人物です。
この作家の新聞随筆の中で「坂本龍馬スパイ説、グラバー黒幕説」が肯定的に捉えられています。

不勉強なブログ主には初耳の作家名でした。
少し、調べてみると

*榊山潤(さかきやま じゅん)
*1900年11月21日~1980年月9日
*歴史小説を得意とし、代表作は『歴史』『毛利元就』とのこと。

この作家の経歴の中に、大東亜戦争で徴用されて陸軍航空隊の報道班員としてベトナム、タイ、ビルマを転戦した、とあります。
なんか、急に親近感が湧いてきましたよ、この榊山氏に。
なぜなら、我が祖父が陸軍兵士としてビルマの激戦に参加し、生還していますから。

では、榊山自身が唱えた説ではありませんが、氏の考えも含めて、その説明をもう少し紹介すると

⇒グラバーはさらに岩倉具視を抱き込み、朝廷工作をした。
⇒そして、鳥羽伏見の戦いによって、グラバーの役目は終わった。
⇒この戦さに、幕府軍が敗れたのは薩長方にイギリスの協力があったからだ。
⇒フランス公使ロッシュが幕府の補強にやっきになったのはまぎれもない事実である。
⇒それに対抗したイギリスが懸命に薩長を支援したのも疑いのない事実である、などなど。

ただ、この榊山氏の新聞随筆を引用している林房雄氏はこの「坂本龍馬スパイ説」を否定。
林の考察を紹介してもいいのですが、、、
またの機会にしましょう。

結局のところは、榊山は「坂本龍馬スパイ説」を好意的に紹介した人物であり、出どころ(=この説の発案者)は判明しませんでした。

いずれにせよ、ブログ主の印象では、林の説明の方が説得力があるように感じます。
幕末あたりの事情は、あまり詳しくありませんので、断定はしません。

それにしても、この「坂本龍馬スパイ説」は結構、有名かつ人気があるテーマらしく、ネット上にはこれに関する多くの質問・回答・意見などが見受けられますね。
やっぱり、坂本龍馬はビッグネームですから。

再度言いますが、個人的にはこの説は信用しておりません。
ん? グラバーと言えば、長崎。
当ブログの顔、我が朋友川口の意見を聞いてみたいものです。

では、今回はここまでとします。
もしかしたら、続編があるかもです。