ネットで大学入試用の英文読解参考書を検索すると必ず名前が挙がる名著です。
問題によって解説が詳しいものと、語句説明だけで文構造には触れられていないものがあります。
今回、練習問題110を解説してみます。
便宜上、各文に番号をふります。
1 When the pyramids were built, the building was technological triumph.
2 Many men died in the doing of it, in various unpleasant ways.
3 That was not important.
4 There were plenty of men.
5 Men were less important than pyramids.
6 Men who would not believe what other men thought they ought to believe have been burned, or drowned,or forced to deny what they thought to be true.
7 In most places at some time, at most times in some place, some men have been afraid to speak their thoughts, and at all times in all places there have been many who accepted the values of their societies without bothering to think about them at all.
1の前半は受動態です。後半のthe buildingはとりあえず、その建造物と訳します。
この英文の前のパラグラフがどうなっているのか、わからないので何をthe buildingというのかがハッキリしません。
入試問題だから仕方がないですね。
triumphの類義語はvictory, success, conquest, win,superiority, accomplishment, acheivementなどです。
直訳 ピラミッドが建造された時代、その建造物は技術の勝利であった。
⇒ピラミッド建設時代に、当時の技術の粋を集めてその建造物が完成した。
2 Many men died は第一文型です。
in the doing of it = in building it
コンマの前を訳すと、多くの人々がその建設作業中に亡くなった
unpleasantはもちろん、pleasantの反意語です。
直訳 大勢の人々が建設作業中に、様々な不快な死に方をした。
3 第二文型です。主語のThatは前文の内容=多くの人々が建設工事で亡くなったことを表します。
直訳 そんなことは重要ではなかった。
4There be S の形です。
直訳 人はたくさんいた。
5 less + 原級 + than ~ = not as 原級 as ~ ~ほど・・でない
直訳 人はピラミッドほど重要ではなかった。
6 Men が主語、have been burned, or drowned, or forced が動詞部で現在完了の受動態( have been 過去分詞)、過去分詞が3つ列挙されている( burnedとdrownedとforced)⇒人は焼かれ、水死させられ、強制されてきた、が骨組みです。
who would not believe what other men thought they ought to believe が主語Menを後ろから修飾しています。
ここで一つ確認、would not believeのwould notは「拒絶」を表します。
(決して)信じようとはしなかった、の意味です。
what other men thought they ought to believe がwhatの前のbelieveの目的語です。
ほぐすために、other men thoughtを( )で囲むと、what (other men thought) they ought to believeとなり、( )を無視するとwhat S Vの形になっていることに気づくと思います。
これは関係代名詞のwhatですから、( )を無視して訳すと、「彼らが信じるべきこと」になります。
( )の中もother men = S, thought = Vとなっており最終的に、what S V S Vの形です。
この形は前のVが後ろのSVを目的語にしています。
簡単な例で説明します。
what she said 彼女が言ったこと、what I think she said 彼女が言ったと私が考えていること、となりますから、what other men thought they ought to believe ⇒彼らが信じるべきだと他の人々が考えていたこと、となります。
forced to deny what they thought to be trueのwhat以下がdenyの目的語です。
動詞部はforce + O + to doの受動態でbe forced to doの形になっています。
whatはここでも関係代名詞、what以下の訳は、彼らが正しいと考えたこと、となります。
念のため、think + O + to be ~ の形は、Oが~だと考える、の意味です。
では、まとめて6を訳します。
直訳
他の人々が信じるべきと考えていることを信じようとしなかった者は、焼かれたり、水死させられたり、正しいと信じていることを無理やり否定させられたりした。
7In most places at some time, at most times in some place は文頭副詞句です。
時と場所、mostをsomeを前後入れ替えて構成しています。
訳⇒ある時代のほとんどの地域で、またある地域ではほとんどの時代に
have been afraid to ~ はbe afraid to ~ (~するのが恐い)の現在完了です。
some men have been afraid to speak their thoughts ⇒自分の考えを話すことを恐れる人もいた
and at all times in all places は接続詞+文頭副詞句です。
訳⇒そして、あらゆる地域であらゆる時代に
there have been はthre is / are の現在完了です。
many = many people でこれが文の主語、who 以下がmanyを後ろから修飾しています。
who accepted the values of their societies ではaccepted が動詞でthe values of their societies がその目的語です。
⇒自分たちの社会の価値観を受け容れた
without bothering to think about them at all で bother to ~ は「わざわざ~する、あえて~する」ぐらいに普通は訳します。
ここのthem はthe values of societies です。
at all は without と連動していますから、強い否定を表します。
⇒自分たちの社会の価値観についてあえて考えてみたりは全くせずに
では、全体を通して訳を確認します。
直訳
ピラミッド建設時代、その建造物は技術の勝利であった。それを建造する作業中に多くの人々が様々な苦しい死に方をした。人が死ぬことは大したことではなかった。人間はいくらでもいたのだから。人はピラミッドよりも重要ではなかった。他の人々が信じるべきだと考えていたことを決して信じようとしなかった者は焼き殺されたり、水死させられたり、自分が信じることを無理やり否定させられたりした。ある時代のほとんどの地域で、またある地域にはほとんどの時代に、自分の考えを話すのがこわいと感じた人々がいたし、あらゆる時代のあらゆる地域で、あえて自分たちの社会の価値観について考えてみることなど決してしないで受け入れてきた人々は多いのである。
意訳
ピラミッド建設時代、当時の技術の粋を集めてその建造物は完成した。その建造中に多くの人々が亡くなった。つらい目にあい、苦しいおもいをしながら。作業中に人が死んでも大したことはなかった。代わりの労働力はいくらでもいたのである。人間よりもピラミッドのほうが重要だったのだ。社会の指導層と多数派が人々に信じさせたい考えを頑なに拒否した者は火刑や水責めで殺されたり、裁判などによって自分の考えを放棄させられた。時代によってはほとんどの国や地域で、また国や地域によってはほとんどの時代に、自分の考えはこわくて口に出せなかった人々がいた。歴史を通じ、世界中の多くの人々は自分たちの社会の価値観を当然のこととしてなんの疑いもなく受け容れてきた。
意訳のほうは、表面上は原文にない情報を補ってみました。
後半に、God, the State, an idea などの単語が登場します。
大文字のGodですから、キリスト教やユダヤ教やイスラム教などが連想されます。
the State も大文字ですから、国家の意味で使っているようです。
では、an idea は?
この続きは次回の2で解説したいと思います。