韓国の「犬食文化」は消えるのか?

朝鮮半島には犬肉を食べる文化・習慣がある。
北朝鮮のことはわからないが、韓国には「韓国犬肉協会」という団体が存在する。

日本でも時代・地域などによっては、犬を食用にしてきた(今も?)。
薩摩地方の「えのころめし」は有名である。

食べたことはないが、子犬の内臓を抜いて腹に米を詰めたものを丸焼きにする料理らしい。
江戸時代に薩摩で食されていたとのこと。

「えのころ」は「いぬころ」や「いぬっころ」が訛ったものと説明されることが多い。

また、終戦後の食糧難の頃には日本全国で野犬を捕まえて食べていたようだ。
ブログ主の祖父や父、叔父連中もよく、「赤犬は旨い」と言っていた。

なぜか、キーワードは「赤犬」である。
日本で犬を殺して食べた話には、必ずと言っていいほど「赤犬」という言葉が登場する。

この「赤」は「red」ではなく、「茶色」の犬を「赤犬」というらしい。
茶色犬を赤犬と呼ぶのは、「赤茶」色となにか関係があるのか?

詳しい人はその辺の事情も知っていると思うが。
では、日本のことはここまで。

話を韓国に戻す。
犬食文化が残る韓国で、犬の食用取引を法律で禁止しようとする動きが加速している。
与野党一致で法案成立を目指し、犬肉取引に関与したものに懲役刑や罰金刑を科す方針のようだ。

かねてから、海外から犬食は残酷だとの非難が韓国には寄せられている。
この点では、日本の鯨食文化が主に欧米から批判されているのと同じような図式だ。

ただ、韓国ではこの数十年間で犬をペットとして飼う家庭が増え、動物虐待反対への意識が高まっているという。
昨年実施の世論調査では、回答者の64%が犬肉の消費に反対し、過去一年間に犬肉を食べたとの回答は8%で、2015年の27%から大幅に減少している。

日本の鯨食に関しては海外からは非難されるが、国内では擁護の声の方が多いと思う。
韓国では外圧に加えて、国内の犬愛護派からの反対意見が増え、犬食文化に衰えが見えているようだ。

この韓国の法案が成立すれば、新法は2027年に施行され、韓国政府は犬繁殖業者や関係産業の廃業にあたり財政援助を行うとしている。

廃業?!
韓国政府の統計によると、現在、国内に1150の犬繁殖場、219の食肉処理場、219の流通会社があり、犬肉を提供するレストランは約1600店が存在するという。

動物愛護の名のもとに、ある国の伝統ある食文化と産業の一分野が消えようとしている。
つくづく、「動物愛護」は現代の強力なキーワードの一つである。

「動物愛護」という錦の旗の前では、食の「多様性」も「職業選択の自由」もひれ伏すしかないのか?
日本でも、動物愛護派(特に、熊愛護派)のせいで、危険な熊駆除が思うように進まない。
どうやら、動物愛護派は人間の命や職業を奪ってまでも動物を大切にしたいらしい。

韓国のこの「犬肉騒動」には様々な論点がからんでいると思う。
また、機会を改めて記事にしたい。

最後に、韓国犬肉協会のジュ・ヨンボン氏の発言を紹介して今回の締めとしたい。

「われわれは非常に憤慨している。ソウルの大統領府や農業大臣の自宅、法案を提出した議員の事務所の近くで、飼育している200万匹の犬を放すことを検討している」