青島ビールが世間をお騒がせ、というか顰蹙を買ってますが。
皆さんご存じ、従業員の男がビールの原料に放尿したニュース。
まあ、ここ20年ぐらいこの中国のビールは飲んでなかったけど、今回の事件を知ったからにはもう今後一切口にしないつもり。
今回は寮の「新寮生歓迎コンパ」のことを少々。
*ここで、最初にお断わりですが、心臓の悪い方はこの記事はご遠慮ください。
二階の大部屋のパーティションを取り外すと、かなり広々とした空間が出来上がる。
寮の宴会やオープンハウスの会場となる通称「レクレーションルーム」でございます。
春日井寮監からの挨拶に続き、全寮チーフ織田先輩(4年・剣道部)による挨拶と「乾杯」の発声により、自分たち一年生18名が、新寮生(=兵隊)として歓迎される宴会が始まった。
「歓迎」=「倒れるまで飲ませる」の時代。
会場のあちこちで、一年生の吐息、呻き、悲鳴。
まあ、今の時代にはそぐわないけれども、昔の学生にとっての通過儀礼。
さて、いつもは冷静でものに動じない川口も、「なにが、『レクレーションルーム』だよ、『地獄の一丁目』じゃねーか」と小声でボソリ。
「おい、S~、おまえ九州男児だから、酒強いよな、よし、これで一杯行け!」
四年の某先輩が、宮崎出身のSに差し出したのは、ビールが入った寿司桶!
「う、せ、先輩~、い、いただきます!」
覚悟を決めたSが寿司桶を両手で持って、口を近づけていく。
Sは高校時代からビールや地元の「芋焼酎」で鍛えていたから、実はかなり酒が強い。
運動神経も抜群で、芸達者!(これは、またの機会に)
「おい、東田、一杯行け」
「オッス」と答えた東田は実戦空手道場に通うだけあって、礼儀正しいし、先輩受けもいい。
注がれたビールをグッと飲み干し、開栓したばかりのビール瓶のラベルを上にして、先輩のグラスに丁寧に注ぎ返している。
剣道部の松木は、と見ると、全寮チーフの織田先輩からグイグイ飲まされている。
あちゃ~、剣道部で四年(=神)と一年(=ゴミ)の関係、寮でも総大将とただの兵隊の関係だ、これは。
松木の巨体・巨頭が、今日は心なしか小さく見える。
と、こちらもさんざん飲まされて、ちょっと危ない。
トイレに緊急避難し、大便器に顔を近づけ、口の中に指を突っ込み、自分で嘔吐。
ふ~、さて、手を洗って会場に戻ろうかなと思いきや、小便器の前の大神先輩と目が合う。
「大神先輩、お疲れ様です」と言った後、よく見ると先輩は半分以上ビールが入った大瓶に自分のモノの先っぽを近づけ自家製「黄金の液体」を注ごうとしている。
青島ビールは原料だったが、我らが大神先輩はビールそのものにダイレクト!
キリンビールと大神先輩のコラボ商品、我が寮限定のクラフトビール「大神スペシャル」!
「おまえ、今見たこと、誰にも言うなよ、言ったらおまえにも飲ませるぞ」
「絶対、誰にも言いません。口が裂けても言いません!」
一年の私は、大神先輩の言葉に絶対服従。
大神先輩は四年でラグビー部、寮のA棟チーフ。
全寮チーフがトップ、ナンバー2がA棟チーフとB棟チーフで、この三本柱が寮全体を統べる体制。
見てはならないものを見てしまった!
会場に戻ると、大神先輩は寮に住む大学関係者のKに近づき、二言三言言葉を交わした後、例の「大神スペシャル」をKのグラスに並々と。
それから、二年のMに近づき、「おい、M、一杯やれ」とニコニコしながら、Mのグラスにもあふれんばかりに。
ふと、大神先輩と目が合うと、ニコッとしながらこちらにウィンク。
ゾォ~、これぞ「悪魔の微笑み」!
こちらは、ただ、無言で頭を下げるのみ。
すっかり酔いも醒めて、その後もかなり飲まされたものの、最後までなんとか意識がありましたよ、おかげさまで。
大神先輩が卒業後に、当時B棟チーフだった堀江先輩にだけこの件を打ち明けたら、「うん、大神はKとMのこと大嫌いだったからね」とのこと。
(KもMも、寮に一台しかないピンクの電話でしょっちゅう長電話する迷惑野郎でした)
最近の青島ビールの例の事件で、久々にこの件が頭に蘇ってきた次第。
ただし、青島は「原料」にかけたことで大騒ぎ、一方の我らが大神先輩は「ビールそのもの」に直接で何のお咎めも無し。
そりゃそうですよ、唯一の目撃者が口を割らないんだから!
わが寮生活は熾烈!