リ~ン、リ~ン、、、、、、
今日も、我が寮の電話が鳴り響く。
「誰だ、今日の電話番は!」
「すいません、自分です」
のんびりテレビを観ていた剣道部の松木が急いで電話を取りにいく。
「お待たせいたしました。山里寮です。はい、はい、三年の谷口先輩ですか、はい、、、、、」
ピンクの公衆電話、見たことありますか?
現在、公衆電話自体が絶滅危惧種だから。
たま~に街角で見かけるのは、黄緑色の機種ですね。
それも数が少なすぎて、イザというときに見つかりませんね。
まあ、皆さん、スマホを持ってるから。
うちの学生寮は約80名の大学生が楽しく暮らしておりました。
ネットもスマホも無い時代。
寮にあるのは、ピンクの電話一台。
寮の玄関ホールを奥に進むとちょっとしたブースがありまして、そこにピンクの電話と何やら怪しげな装置が。
ブース内の大きな金属板に101,102、103、、、、、、等の数字とそのそばに押しボタン。
ブースの101のボタンを押すと、101号室内の小さなブザーから「ブ~」と音がでる仕組み!
素晴らしいではありませんか。
わざわざ101号室まで走って行って、ノックしなくてもいいんですよ。
いや~、文明の利器ですね。
え?インターフォンじゃないのかって?
そんな怖ろしく高級なシロモノ、うちの寮にあるわけない。
ただ、「ブ~」だけ! シンプルイズベスト!
「ブ~」が聞こえたら、部屋の中のボタンを押す。
すると、玄関ホール奥の電話ブースの小さなスピーカーから、「ブ~」
「ブ~」と「ブ~」で「部屋にいますか?」と「いますよ」の合図。
で、部屋の者が一階の電話ブースに行くという仕組み。
この電話ブースに詰めて、かかってきた電話に出て相手が「二年の川口さん、お願いします」と告げたら、川口の部屋203のボタンで「ブ~」、川口が在室なら「ブ~」が返ってくる。
電話口の相手に「川口、寮におりましたので呼び出しています、少々おまちください」と告げたら受話器を静かに置いて、川口の登場を待つ。
これが、うちの寮の電話当番の仕事。
責任重大、特に相手の御指名が三年生、四年生の場合は言葉遣いをていねいにして、くれぐれも失礼のないように。
緊張しましたよ、特に自分が一年生の時は。
まあ、冒頭の松木のように、一年の時から電話番でもふてぶてしく、談話室でテレビを観るものはおりましたが。
電話ブースのそばに、談話室があり、テレビが一台ありまして。
電話ブースのそばには、寮生各自のメールボックスもありました。
なぜか、アイスホッケー部の西川のところには、女性ものの、、、、、
ここは、自主規制します。
今回は、電話番の仕組みを紹介しただけになってしまいました。
また、電話にまつわるエピソードを紹介できたらと思いつつ。