朝ドラ『らんまん』製作者さん達へ、熊楠は「暴行で収監」ではありませんよ!

本日、令和5年9月19日放送回のNHK朝ドラ『らんまん』にはちょっと気になる点が。
もちろん、史実は史実、ドラマはドラマは百も承知の上で、当ブログ主から一言。

徳永教授が万太郎に、熊楠が「暴行で収監された」、との発言を。
確かに、熊楠は神社合祀反対運動の中で、18日間ほど投獄されている。
これは、まぎれもない事実。

ただ、その拘留理由は「家宅侵入罪」であり、「暴行罪」ではない!
その「家宅侵入罪」も個人の家に押し入ったのではない。
中学校の講堂である。

史実を、箇条書きで確認する。

*明治43年(1910年)8月、田辺中学校で紀伊教育会主催の夏季講習会が開催された
*その修了式に、神社合祀推進派の県の役人が出席することを熊楠が知る
*熊楠はこの役人に面会し詰問しようと式場の講堂に乗り込む
*講堂の壇上に侵入し、訓示中の人物に私物(信玄袋)を投げつけるが、的は外れた
*多数の警官に取り押さえられて、講堂から出された
*その翌日、「家宅侵入罪」で連行され、18日間投獄

これが、史実。
朝ドラ『らんまん』で使われた「暴行で収監」は、史実ではない!

なぜ、ドラマのセリフにこだわるのか、
その理由は、南方熊楠が実名で登場するから!
ドラマの役柄名ではなく、本名で言及されるから!

牧野博士も松山教授もドラマ名(=槙野、徳永)で登場するにもかかわらず、熊楠は実名で登場する!
実名で登場させるなら、確認できる史実には忠実であって欲しい。
つい、力が入るのは、ブログ主が大の熊楠ファンである所以だが。

と、ここまでの書き方はちょっとキツイですね。
ここからは、文体もやわらかくします。
まあ、主人公が牧野博士だから、手紙とか標本で存在感を出している熊楠とは、やはり描き方は変わりますよね。

なんだかんだ言って、『らんまん』を楽しんでいます。
熊楠ファンとしては、「姿なき登場」=「熊楠の手紙や標本だけの登場」もなかなかの演出だと思ってます。
これで、熊楠ファンが増えてくれたら、いう事ないんだけど。

今回、徳永教授が「暴行」という言葉を使いました。
実は、熊楠は若いころ、つい手が出てしまって、という事件も起こしています。

在英時代の南方熊楠。
1897年(明治30年)11月8日、大英博物館閲覧室にて、館員をなぐる暴行事件をおこしております。
どうも、その白人が熊楠にいろいろと嫌がらせというか、難癖をつけてきたらしくて、、、、
熊楠本人の弁は、

『その時館内にて小生を軽侮せるものありしを、小生五百人ばかり読書する中において、はげしくその鼻を打ちし事あり』

ということで、若き日の熊楠はカッとなると、相手の顔面にパンチすることもあったようですね。
あと、熊楠はソートーな酒豪だったらしく、ロンドンのパブをはしご酒したらしいですよ。
まあ、この辺も、いつか当ブログで紹介できたらなあ、とは思っています。

朝ドラ『らんまん』、本日で、ドラマの時代設定にひとつの区切りがついて、、、、
明日からの展開はいかに。