皆神龍太郎・志水一夫・加門正一『新・トンデモ超常現象60の真相(上)』彩図社

三名の著者は「と学会」から皆神氏と志水氏、そして大学教授の加門氏。
古代文明から超能力、UFOや異星人などなど、様々な超常現象を調査・検証している。
この書で取りあげられた伝説?は29を数える。

*青森県にキリストの墓がある
*アメリカの警察は超能力者を使って事件を解決する
*江戸時代の異星人遭遇事件が記録されていた

とまあ、このような不思議現象を一つ一つ、丁寧に調べて、そのウソ?を暴いていくわけだが、、、
ただ、本書の著者たちは超常現象をこよなく愛しているようだ。
愛しているがゆえに、その嘘や間違いが暴かれているものをいつまでも「驚愕の事実」と呼ぶことに抵抗があるという。

約30の事象・事件が取り上げられているので、多少のネタバレはご容赦願い、執筆陣の腕の冴えを御覧じろ。

*青森県にキリストの墓がある⇒まったくのデタラメ!

⇒そもそも、舞台となる青森県三戸郡神郷村の観光パンフレット「キリスト渡来の地・しんごう」に以下の記述がある。

「イエス・キリストは実は日本に逃れ、青森県三戸郡戸来村(現在の神郷村)に渡来して生涯をとじたという。しかし、これは伝説でもなければ、この地方に古くから伝わる話でもない。昭和十年茨木県磯原町に住む武内宿祢の末えい武内巨麿らが、当時の戸来村を訪れ、『キリストが戸来に住んだ』そういう古文書が武内家の文庫から発見されたというのだった」

このように、神郷村自体が、外部の者が勝手に言い出したとハッキリ主張している。

著者たちは、さらに細かい情報を提供しているので、興味ある方はご一読を。
その武内家の文書がキリストの遺書だというのに、なぜか漢字とカタカナで書かれていた、という箇所でブログ主は思わずゲラゲラ笑ってしまった。

そうか~、キリストは漢字もカタカナも知ってたのか!(バカバカしい!)
ハハハ!
子供だましもいいとこ!

*米ケンタッキー州ホプキンスビルで異星人の襲撃事件があった⇒でっちあげ(酔っぱらいのたわごと)ではなかろうか、が結論

この事件はUFOに詳しい人なら知っているであろう有名な出来事?らしい。
異星人に興味がある方は、本書を手に取ってみてはいかがか。
多分、ガッカリすると思うが、、、

この部分を執筆した加門正一氏は、1994年8月にケンタッキー州ホプキンスビル付近を通る機会があり、事件現場を訪問した。(凄い、現地取材だ!)
そして、幸運にも、事件当時に詳しい二人の人物と面会し、情報を提供された。
その内容とは、

・異星人と遭遇したと発言した当事者は日ごろから酒びたりで(事件当日も飲酒)評判も悪い。
・その話を信じている者は、この近辺には一人もいない。
・その事件を証明する実質的な証拠は何もない。

加門氏は日本に帰ってからも、現地の図書館でコピーしてきた文献をチェックした。
そして、当時、その事件を調べた州保安官に手紙を送り、調査を続けた。
その結果は、、、、

これ以上のネタバレは避けたいと思う。
それにしても、真相解明のために加門氏が行った検証作業は入念かつ精密である。

ガセネタやフェイクニュースがネットやSNS上に溢れるこの時代。
三人の執筆陣の慎重な姿勢や自分で検証する態度は、世にはびこる変なウソから騙されないために必要なことだろう。
一読の価値あり。

ただ、本書が取り上げた事象を信じている人には、なんと言えばよいのか、わからないが。