雑誌『丸』ってまだあるんだ~!

先日、最寄りの書店に顔を出し店内をぶらぶら。
雑誌のコーナーを見ていたら、なんと、赤字の『丸』が目立つ表紙が目に飛び込んで来た。

まだ、あるんだ~!
小学校高学年から中学時代に時々購入していた記憶が蘇ってきた。

ご存じない方のために、簡単に説明。
一般には、「軍事雑誌」として知られている。
創刊は1948年、ブログ主が久々に手にしたのは今年の12月号で、これが通巻932号にあたる。

かつて編集長を務めた人物は、「実際にあった戦争の実態を伝えようというのが目的」だと語る。
ただ、世間には「兵器好きのマニアだけが読む雑誌」とか「好戦的」などのイメージを持つ人もいる。

今回、買った『丸』12月号の特集記事を多少紹介すると

「金剛」&「榛名」栄光の高速戦隊(⇐これが第一特集のタイトル)

*最強高速戦艦「金剛」&「榛名」のメカニズム徹底検証
*壮絶なる「金剛」「榛名」の生涯
*「金剛」VS海外の高速戦艦

このように太平洋戦争というか大東亜戦争で戦った日本の戦艦が大々的に取り上げられている。

第三特集は、英の戦艦の特集記事でタイトルは、巡洋戦艦「レパルス」マレー沖にて轟沈す、というもの。
開戦早々、英の「レパルス」と「プリンス・オブ・ウェールズ」を日本の航空隊が撃沈させた記事。

第四特集になると、F-22戦闘機が主役で時代も現代。
同機は世界初のステルス戦闘機だという。

本誌は「兵器好きのマニア」のみを読者として想定しているわけでないが、「兵器好きのマニア」にとって読み応えのある記事が掲載されていることは事実だと思う。
本号でも、Fー22の最新アップデート状況について詳しく解説している。

その一方で、編集者の言う「実際にあった戦争の実態を伝えよう」とする記事も読みごたえがある。
戦艦「金剛」は昭和十九年の十一月に敵潜水艦による魚雷攻撃で撃沈される。

「搭載していた飛行機のガソリンが艦の爆発のため燃え上がり、その明かりのなかに映し出されたのは、ドス黒い重油を顔一面に塗りたくられ、だれともみわけのつかない顔が何百と浮いていた」

「まるでこの世の生き地獄だ。私は幸い格子型のグレーチングに手のさきがふれたが、赤い血のついた肉片がユラユラとくっついているような気がしてあわてて手を離した」

「この小さな割れた竹ザオ一本を持って浮いている自分も、やがて沈んでいくのであろうかと、覚悟を決めた。すると故郷の父や母、そして自分の短い一生のことが走馬灯のように見えてきた」

実際に海軍の一員として戦闘に参加し、沈みゆく戦艦から海に投げ出されて、何時間も海上で生死の境をさまよいながら漂い、幸運にも味方の駆逐艦に救助された生存者の回想である。

思えば、十代前半の自分は、この雑誌『丸』の記事でも戦艦や空母、戦車や戦闘機などのスペック解説やそれらが活躍する戦闘描写に興奮していたようだ。

しかし、オヤジとなった今では戦場における生々しい場面の心理描写のほうが読後の印象が強い。
子供の頃は、「兵器好きのマニア」とまではとてもいかないが、戦闘機や戦車などのプラモデル作りの延長に「兵器」への興味・関心が芽生えたのであろう。

久々に、この『丸』に目を通してみて思うのは、おそらく様々な読者にそれぞれ異なる印象を与える内容を持つ雑誌ではないかということだ。

個人的には、小学校・中学校時代の懐かしい記憶が少し蘇ってきて、当時の友人たちとの思い出や陸軍の兵士としての軍歴を持つ祖父のことなどを思い返している。

次号の特集はあの戦艦「大和」のようだ。
さて、どうしたものか。