ヘルメットを着用し、鉄パイプもしくは角材で武装した者から、襲われたら、素手で対応できるだろうか?
「おいおい、なんと、物騒な想像だよ~」と、常連さんたちから突っこまれそうだが、、、
現代の日本では、あまり現実味がない仮想かもしれない。
しかし、数十年前の大学生には十分起こりうる日常でもあった。
いや、「起こりうる」どころか、実際に「起こった」ために、命を落とした人も多い。
今、左翼を研究するために、少しずつではあるが、その方面の本を読んでいる。
具体的に一冊、書名を挙げると、『彼は早稲田で死んだ 大学構内リンチ殺人事件の永遠』(文春文庫)である。
著者は、樋田 毅さん(以後、敬称略)。
(まだ読破していないので、途中までの情報をもとに、適宜この本から引用する)
この文庫本には、タイトル通り、早稲田大学でリンチを受け、殺された男子学生が実名で言及されている。
書名は『早稲田で死んだ』だが、どう考えても『早稲田で殺された』が正確であろう。
また、後から、本書の内容を少し紹介する。
さて、その前に、当記事タイトルに自問自答してみよう。
◎ 鉄パイプで襲ってくる敵に素手で対処できるか?
⇒逃げるのが一番いいが、果たして、敵がこちらを逃がしてくれるかが大きな問題。
⇒一応、護身術的な対応を以下に挙げてはみるが、、、
*急所の頭をガードしながら、相手の懐に入る。
*相手に接近できたら、顔面パンチ・金的蹴り・頭突きのいずれかで攻撃する。
*相手がひるんだら、鉄パイプを奪う。
以上のような手順が、護身術の動画やテキストで示されると思う。
ただ、素人にできる動きではなさそうだ。
また、昔の人が言うように、「生兵法は大怪我の基」だから。
結局、素手で鉄パイプをさばくのは、極めて困難と言わざるを得ない。
いや、待てよ、磯貝ならなんとかするかも。
まあ、ブログ主なら、必死で逃げるだけか?!
◎ 左翼過激派の怖ろしさを見よ!
樋田の『彼は早稲田で死んだ』には、大学内で中核派と革マル派が激突する様子がリアルに再現されている。
両陣営とも、ヘルメットを被り、鉄パイプや投石用の石やビンで武装している。
樋田によると、最初は投石合戦がひとしきり。
その後、接近戦へと移っていくが、革マル派は指揮官の笛で陣形を臨機応変に変化させるという見事な戦術を見せたという。
以下に、同書から引用する。
「鉄パイプの先を一か所に集めてドリルのようにしたり、ハリネズミのように四方八方に鉄パイプをふりかざしたり、その闘いぶりは統率が取れて隙がなかった。明らかに戦闘用に鍛えられているのが伝わってくる。戦況に合わせて、どう動けば相手に最大のダメージを与えられるかが考え抜かれ、変幻自在な彼らが雄たけびを上げて突進すると、中核派の戦士たちは蜘蛛の子を散らすように逃げた。
この日の勝負はあっけなくついた。革マル派の完勝だった」
この箇所を読んだとき、ゾッとしたと同時に唖然とした。
学生でありながら、集団で一糸乱れぬ戦闘態勢を展開するには、かなりの訓練を必要としたに違いない。
その歪んだ熱意というか、執念に戦慄を覚えると同時に、それほどの努力が、結果として、数々の傷害・殺人につながっただけという事実に言葉を失った。
◎ おわりに
こちらが素手の際に、鉄パイプや金属バットを持った暴漢から襲われそうになったら、とにかく逃げよう。
(前述したように、敵があなたをあっさり逃がしてくれるかどうかはわからない)
それとは別に、かつて左翼過激派の暴力から身を護ることができずに、命を奪われた大学生が大勢いたことを現代の日本人は忘れてはならないとも思う。