皆神・志水・加門『新・トンデモ超常現象60の真相(下)』彩図社

すでに、当ブログでこの本の(上)を紹介したので、(下)も取り上げるのが自然な流れであろうということで。
この下巻には、31の超常現象とその検証作業が掲載されている。

*岐阜県富加町のポルターガイスト事件
*宜保愛子の霊視
*家畜を殺すチュッパキャブラス
*涙を流すマリア像

まあ、本当にいろいろな不思議?で盛りだくさん。
一番のおススメは通し番号32の「宜保愛子は5百年前のロンドン塔の悲劇を霊視した」!
ここで紹介したいが、その衝動をグッと抑えている。

では、例によって多少のネタバレはご容赦で、、、

通し番号35「聖書には暗号で予言が隠されている?!」
その主張は、
・聖書にはイスラエルの賢者32人の名前と生没日が隠されている。
・イスラエルの首相ラビン氏の暗殺を予言していた。
・ケネディやガンジーの暗殺も予言されていた。
・オウム真理教の地下鉄サリン事件までもが書かれていた。

さて、本書の検証結果は、

⇒旧約聖書は全部で約30万字もある。
⇒いろいろ工夫して単語を取り出せばメッセージらしきものは出てくるのが自然だろう、
という極めて常識的な意見を紹介する。

*それに対して、「聖書=予言の書」の信奉者は、
「メルヴィルの『白鯨』から、首相暗殺のメッセージを探し出せたら、批判を信じる」と発言。

*この反論に、批判者たちはすぐに反応して活動開始、その結果は、

⇒メルヴィルの『白鯨』から多数の予言?が出てきた。
⇒ケネディ暗殺、ガンジー暗殺、トロッキー暗殺などなどのメッセージが見つかる。
⇒さらには、ダイアナ妃の死まで予言。
⇒さらには、、、、、
これ以上のネタバレは控えよう。

結論、「聖書には暗号で予言が隠されている」はデタラメ!

本書(上)の感想でも書いたが、三人の執筆陣は丹念に文献にあたり、場合によっては現地調査まで行う。
自分の頭で考え、自分の足で調査する。
一見、バカバカしい?ことに本気で取り組んでいる。

ブログ主はすべての超常現象を否定するものではない。
信じざるを得ない霊的現象や怪異現象は少なからず存在すると感じている。
ただ、本書の60の事象に関しては、執筆者たちの検証結果に説得力があると考える。

ガセネタをつかまされないために、
フェイクニュースに騙されないために、
陰謀論にはまらないためには、
事実としての「常識」と判断力としての「常識」を兼ね備えなければ。

本書(上、下)は楽しく読めて、「そのウソ、ほんと?」の態度が大切だと教えてくれる。
一読の価値あり。

で、最後に一言。
霊的現象や怪異現象に興味がある方はぜひ、『山怪』シリーズを!
別に、ブログ主は著者(田中康弘氏)やヤマケイ文庫の関係者ではないが、、、