って、信じられないでしょう。
でも、本当なんですよ。
常連が店を潰すこともあるんです。
潰れて何年になるのかな、本当に大好きな小さなバーがあったんですよ。
カウンターが4席で2人席テーブルが1つのお店が。
特別に面白い酒類を置いていたわけではなく、ツマミもカワキモノと缶詰ぐらい。
生ビールはオリオンビールでした。
6時くらいから営業開始で、午前2時か3時閉店。
まあ、こじんまりとしたバーにはありがちだけど、常連が居れば週末なら朝までの日もあったような。
小さい店って居心地がいいんですよね、ご存じのように。
なんせ、席数が少ないから、覗けば満席のパターンが多くて。
わずか6席の場所にほぼ毎日いるのがKちゃん、デパート内の店舗に勤務していた女性。
開店とほぼ同時に入店、生ビール党。
ツマミはとらない。
え、なんでお前が知ってるのか?って、マスターから聞きました。
そして、このK ちゃん、腰が長いんです。
だいだい、1時頃まではとぐろを巻いています。
表現が古いですか?
1時頃までは帰らないという意味です。
もう1人、このバー界隈の女帝Yさんです。
この美人さんは美容師さんで、仕事が終わってから登場。
こちらは、日本酒、焼酎、洋酒をその日の気分に合わせて楽しんでいました。
ハイ、そうです。この美女もなかなか帰りません。
1時、2時は当たり前の毎日です。
おい、なんでお前が知ってるの?って、時々一緒に飲んだからですよ。
だって、男は皆、美女と飲むのは大好きでしょ?
この二人が知り合いを連れてきたら、6席などあっと言う間に完売。
だから、こちらとしては比較的に客が少ない平日か、週末ならば割と遅めに顔を出していました。
12時頃とか。
Kちゃん、Yさんの他にも、常連は沢山いました。
よく来ていたのが、夫婦の常連さん。
旦那は会社勤めで常識人なんだけど、嫁さんがすぐ敵をつくるタイプ。
常連ぶるというか、狭い店内で我が物顔でふるまう。
始めてきた客にも言いたい放題。
服のセンスをいじったり、勝手にあだ名をつけたり。
「あの人は苦手」という客も結構いました。
こんな感じで、だいたい早い時間から10時頃までは満席でしたよ、特に週末は。←ここがポイント!
では、なぜ潰れたか?
1 平日はKちゃんとYさん以外は常連も少ない。
常連の多くは昼間のお仕事の勤め人さんたちだから。
2 週末には、常連で埋まるので、新規の客がなかなか店内で飲めない。
常連って二つのタイプがありますよね。
満席で新規の客が覗いたときに、「あ、私出ますから」と言って席を譲る人と、我、関せずの態度で絶対に帰らない人と。
この店の常連は後者が多かったんです。
だから、いったん満席になるとなかなか空席がでないんです。
これは、凄く大きな要因なんですよ。
人間は、行きたい店が満席で入られない状態が何回か続くと、行きたくなくなるんですよ。
あの店いつも、満席だから、全然入られん!と仲間うちで噂になったりします。
3 KちゃんもYさんも飲むだけでツマミをとらないから、売り上げがあまり上がらない。
しかも、二人とも、よく店内で寝る!
4 時々、店を休みにして、マスターと常連でイベント(海でバーベキューとか登山とか)を楽しむので、知らずに来店した客は「え?臨時休業?聞いてないよ~」状態になる。
また、この店のマスターがいい人で常連とプライベートで飲むと奢ったりするんですよ、特に女性には。
そんなこんなで、火の車だったんでしょう。
家賃滞納で店は潰れてしまいました。
マスターは常連を大事にしたし、常連は店を愛しすぎた結果なんですよ、皮肉なことに。
いい店でした。
無くなってしまうと、より一層そういう気持ちが募ります。
この元マスターは今、沖縄にいるとのことです。
Yさん情報です。
彼女とは時々、一緒に飲んでます。
と、ここまで書いているとチョット酔いが回ってきました。
今回も、オチなしですが、この辺で。