さて、いつも居酒屋や中華料理屋でにぎにぎしく飲んでいたわけではない。
所詮、学生だから財布の中身はそれほど厚くはないのが基本。
だから、通常は誰かの部屋に酒類とつまみを持ち寄って楽しくやるわけ。
その寮内酒場の人気店の一つが居酒屋「佳樹」でございます。
川口:あのさ、今日、大浴場で凄いもの見ちゃったよ。
ブログ主:なに、なに、教えてくれよ。
川:寮監てさ、ほぼスキンヘッドじゃん。今日、頭を剃刀で剃ってたんだけど、運悪くチョット切ったみたいでさ、頭から血がタラ~リ、タラ~り。
佳樹マスター:こ、怖っ!寮監の頭から滴り落ちる血が、ポタリ、ポタリ、、、と浴場の床に。なんか、今晩、夢に出てきそうだな。
ノーちゃん:ハハハ。実は、俺も見たことがある。結構、目撃者いるみたいだな。
そこへ、コンコンとドアをノックする音。
姿を現したのは、アイスホッケー部の西川だ。
手には、ビールと乾きもののつまみが。
西川:皆さん、やってますな。俺も、仲間に入れてもらおうかな。
西川のグラスにビールがつがれたら、一同めいめいのマグカップやグラスを持って、「かんぱ~い」!
ん、なんか、佳樹マスターがニヤニヤしてるぞ。
佳:あのさ、西川、昨日かラジオで南こうせつが言ってたんだけど、そっちの地元に「バクダン釣り」ってのがあるんだって~?!
西:ん、まあ。
川:バクダン釣り?なんだよ、それ?
佳:凄い名前だよな~、バクダンって、破壊力があるよな~。なんかさ、釣り針を5つか6つか付けてさ、それを団子状の餌で包み込んで海中に投入するってやり方だってさ。団子餌の中に針が沢山入っているんだよ。
ブ:初めて聞いたよ。で、そのバクダン釣りって効果的なのか?
佳:魚がいるとこなら、確実に釣れるってさ。だって、食いついた餌に針が複数潜んでるんだから、魚の口から外れないよ。なんとも恐ろしい釣り方だよな。なんせ、バクダンなんだから、ハハハ。
西:「、、、、、、、」
佳:しかし、改めてさ~、とんでもないネーミングセンスだな。バクダン、ハハハ、バクダンだってさ、ギャハハ、、、バクダン、バクダン、、、
ノ:佳樹ちゃん、笑い過ぎだぞ、確かにバクダンって強烈な名前だけどさ。
佳:ハハハ。でさ、魚を絶対に逃がさないぞ、根こそぎ釣ってやるぞって感じが出てるじゃんか。西川~、その辺は地元の県民性とかと関係してるのか?
西:「、、、、、、、、」
川:まあ、面白い名前と釣り方だとは思うけど、別に県民性がどうのこうのとかの話じゃないと思うな。なあ、西川。
西:うん、バクダン釣りはたしかに俺の地元では有名だけど、俺自身は釣りはやらないしな。南こうせつも余計なことをしゃべりやがって。
地元がネタにされた場合、人間だれしも効果的な反応・反論は難しいものだ。
今回の西川にとっては、寝耳に水の「バクダン釣り」であった。
その後も、佳樹マスターは妙にツボにはまったらしく、「バクダン、ハハハ、だってバクダンなんだもん」とか思い出したように一人でうけていたが、西川はただ苦笑するのみ。
そこへ、コンコンとノックの音、続けて覗くのはデカ頭。
松木登場、もちろん手ぶらだ。
ブ:松木~、手ぶらの客はお断わりだぞ。
松:もう、そんなきついこと言わないでさ、今月はピンチなんだよ。
佳:まあ、松木は仕方がないよ。さあ、また乾杯しようぜ。
松:佳樹ちゃん、ありがとね。
川:そういえば、先月松木に貸した2000円、まだ返してもらってないな~。
松:うっ。
ノ:俺も、先週1000円融通したよな。
松:う、えっと、あ、そういえば、ノーちゃんさ、最近キャンパスで話題になってるよ。ファッションセンスで。
ブ:なに、話題を変えようとしてるんだよ、松木。
松:いや、剣道部の連中とか学科の同期とかが、ノーちゃんのドテラ姿がイイって言ってるんだよ。
川:あ、それ本当だよ。この間、知り合いから「あの人、誰」って俺も聞かれたよ。
佳:うちのキャンパスをドテラ姿で歩くと、確かに目立つよな~、さすが、ノーちゃんBIGだな。
ノ:いやいや、それほどでも。
ブ:俺も、真似しようかな~。
西:いいね~。うちの寮生で「ドテラでキャンパス」運動をやるか。
川:うん、やろうか。いつぞやの「寮Tシャツ」よりは遥かにイイかもよ。案外、流行ったりして、、、
佳:あのTシャツは、評判悪かったな~、誰がデザインしたんだっけ?
西:一つ上の先輩連中じゃなかったかな。
と、ふと松木の方へ眼をやると、一人手酌でグイグイ飲んでやがる。
まったく、ちゃっかりした野郎だ、、、、憎めないけど。
このような感じで、今宵も居酒屋「佳樹」は盛況でございます。
寮生活は楽し!