「西川先輩が死んでます!」
「寮長、寮長~!」
「おい、二年の先輩たちを呼びに行けよ」
早朝の寮、玄関ホールが騒々しい。
ホール壁沿いのベンチソファーにアイスホッケー部の西川(仮名)が突っ伏している。
微動だにしない。
「あ、寮長!」
「寮長、大変なんです!」
「もぉ~、何~、どうしたの?」
パジャマ姿の寮監が登場!
寝起きらしく、極めて不機嫌。
「西川先輩が死んでます!」
「ン、西川くん? 死なせておきなさい」
「え?」
「いいから、死なせておきなさい。ほっとけ」
そう言い残すと、寮監は自室に戻っていく。
「おい、大変だぞ」
「先輩、呼ばなきゃ」
「おい、ど~した?朝っぱらから」
「あ、川口先輩」
毎度おなじみ、川口登場!
西川の姿に、チラッと目をやって、「泥酔で寝てるだけだろ。そっとしておけよ」
「え?死んでないんですか、、、」
「死んでるわけね~だろ」
で、一件落着。
後日、安眠を妨害されてご立腹の寮監から、西川はみっちり指導を受けましたとさ。
(現在の西川氏は心理学のエキスパートとして、後進を「指導」しております。)
十代後半から二十代前半のエネルギー溢れる学生が寮内に約80名。
この野生動物を管理・監督する寮監の仕事は激務そのもの。
夜中だろうが、大声出して暴れるものはいるし、
門限は平気で破るし、
こっそり、女の子を部屋に連れ込むやつもいるし(男子寮ゆえ、禁止事項)
西川のように玄関ホールで寝るものはいるし、
寮監の自室にセミを放つというガキみたいなイタズラをするやつもいるし、
⇒その夜中じゅう、セミは鳴き続け、寮監眠れず!
無免許運転で捕まった寮生が家裁に出頭する際には付き添ってくださいました。
該当者のお二方は、今でも感謝しているそうです。
個人ブログ上でも書けないヤバい話もありますが、、、
まさに、「寮監はつらいよ!」です。
う~ん、それにしても、「死なせておきなさい」は名言だなあ。