今回はトミーのリクエストに応えて、下ネタ満載の記事。
狂歌の世界を少しばかり紹介する。
では、「そもそも狂歌とは、、、、」などの能書きは抜きにして、早速、一首。
◎ さほ姫の すそ吹き返し やハらかな けしきをそそと 見する春風(歌中の「ハ」はタイプミスではない。念のため)
*さほ姫=佐保姫=奈良の佐保山の擬人化(春の女神とされる)
*けしき=「景色」に「毛」の意味を掛けている。
*そそ=「楚々 そそ」に女陰の俗称「そそ」を掛けている。
⇒高貴な姫様の着物の裾が春風のいたずらでめくれると、うら若き乙女の「おそそ」と「pubic hair」が、、、、ということ。
作者は貞徳(ていとく)。
◎ わか恋ハ 袖やたもとを おしあてて 忍ふとすれと 腹に出にけり
*忍ふ=忍ぶ=「我慢する」の意味に「人目を避ける」の意味を掛けている。
*恋愛の末に「腹に出る」ということは、、、、解説は不要であろう。
この狂歌は、「しのぶれど 色に出にけり 我が恋は 物や思ふと 人の問うまで」(平兼盛)が本歌である。
作者は臍穴主(へそのあなぬし)。
◎ 恋という そのミなかミを たつねれハ ばりくそ穴の ふたつなりけり
*たつねれハ=たづねれば
*ばりくそ穴=尿道口と肛門=ここでは、女色と男色の対象となる器官をいう
この狂歌も、あえて現代語訳する必要もなかろう。
作者は一休禅師(=いわゆる、とんちの一休さん)と考証する人がいるが、その根拠は不明。
◎ おふじさん 雲の衣を ぬがしやんせ 雪のはだえが 見たうこさんす
*おふじさん=富士山を若い女性に見立てている。
*雪のはだえ=雪の肌=春の富士に残る雪を、美しい女性の雪のように白い肌に見立てている。
*見たうこさんす=見たうござんす(「ござんす」は「御座んす」で、もとは遊女の用いた言葉)。
この歌も、訳など不要であろう。
詠み人知らず。
◎ おいらんに さういひんすよ すぎんすよ 酔なんしたら たたおきんせん
*おいらん=花魁
*いひんす=いいんす=いいますよ、いいつけますよ
*すぎんす=過ぎんす=酒が過ぎますよ
上記の「いひんす」「すぎんす」などは、「ありんす」同様、典型的な「吉原言葉」である。
*おきんせん=おきませんよ
⇒吉原で遊女に仕える少女を「禿 かむろ」と呼んだが、その禿が酔っ払った客に「もう、花魁に言いつけますよ。酔い過ぎですよ」とたしなめている場面を詠んだもの。
作者は、盲目の大学者である塙保己一(はなわほきいち)だという。
◎ なまぬるい 野郎畳と いはばいへ あの女なら しりにしかれん
*野郎畳=縁をつけない畳のことで、男を罵る際に使う「野郎」を前出の「なまぬるい」につけて、自らを「軟弱で甘ったるい男」だと自虐している。
*しりにしかれん=尻に敷かれん
作者は呉竹(ごちく)。
この作品は、男が女に惚れた弱みを詠んだもので、意味は簡単にとれるだろう。
◎ よることに 式部かそそを あらふらん むすふいつミの 水のくささハ
さて、この歌も、もちろん、下ネタ。
*式部=宮中の女官のことだが、ここでは平安の女流歌人和泉式部のこと。
*「そそ」=例によって、女陰の俗称。
あとは、常連さんがたの読解力におまかせする次第。
作者は、雄長老(ゆうちょうろう)という高僧。
さて、本記事は狂歌の中でも、下半身ネタを主に紹介してみた。
言うまでもなく、狂歌のテーマは猥雑なものばかりではない。
わずか七首しかお目にかけていないが、またの機会に、いくつか触れてみたい。
トミー、少しは楽しんでくれたかな?