モンゴル人から見た支那 その2 ~ 中華人民共和国の歴史捏造

本記事は、前回の「モンゴル人から見た支那 ~ 日本人の見方とは大違い!」の第二弾。
未読の方は、前回にも目を通していただけると幸いです。

さて、日清戦争で母国を倒した日本に学ぶために、支那から多くの有能な人材が渡日する。
その中には、孫文や蒋介石といった著名人の顔も。

学識豊かな支那人留学生たちは、日本人が漢文で記述した『大日本史』や『日本外史』などを読んで愕然とする。
それは、日本には通史があるのに対して、支那には各王朝ごとの歴史書しか存在しないという事実に初めて気づいたからだ。

さらに、日本の皇室が「万世一系」である一方で、支那の皇帝は家系どころか民族まで入れ替わっており、連続性がないことにも衝撃を受けた。
日本に漢字を教えてやったと自負する自分たちが、歴史の面では敵わないと実感し、ある行動に出る。

そう、自らの歴史を書き換えようとしたのである。
楊海英教授の本より引用する。

⇒「歴史を書き換えるといっても、さすがに数千年つづく王朝を捏造するわけにはいかない。天皇家のように古代からつづく一本の流れを設定しよう、、、、この発想から考えだしたのが「漢族」という概念だった。漢族が数千年にわったて継続してきたという『民族の万世一系』という神話である」

なんだか、支那人も必死だ。
教授によると、なんとか自国の歴史が日本に負けていない体裁を整えるために、以下のような珍説を唱えたという。

*三王五帝のひとり、黄帝こそが漢族の始祖であり、現在の支那人は皆、黄帝の子孫である。
(⇒まともな学者なら、「三王五帝」は神話上の存在とみなす。まさに、珍説である)
*その漢族の鼻祖である、黄帝は白人であった。
(⇒西洋文明に触れた支那人が、「白人の方がアジア人よりも優れている」と考えたことから生まれた珍説だと、楊教授は解説している。ホント、わけのわからん連中だ、ハハハ)

モンゴル生まれの楊教授の著書に触れて、つくづく思ったのは、一部の日本人に見られる「支那崇拝」がいかに愚劣かということ。
当の支那人は、日本の皇室の連続性や日本の通史に憧れているのだ、本音のところでは。
それを、隠して、要は「劣等感の裏返し」で、日本に対して居丈高な態度をとっているだけだ。

楊教授の記述の中には、帰化した日本に対する多少のリップサービスも入ってはいるだろうが、かつて世界史上、最大の領域を征服したモンゴル帝国の子孫であるという自負心が支那に対する遠慮のない物言いの根源だろうと推測する。

では、最近の中華人民共和国の歴史捏造の手口を、楊教授の本から紹介する。

*夏商周年表プロジェクトとは?

中国語では「夏商周断代工程」と書く。
1996から2000年にかけて進められた取り組みで、自国の歴史の起点を確定させる(=歴史の捏造)ためのものだ。

その結果、最初の王朝とされる「夏王朝」は紀元前2070年頃から紀元前1600年頃と定めたという。
これに基づけば、「中国4000年の歴史」と胸を張れるわけだ。

しかし、他国のまともな学者なら相手にしない。
なぜなら、文献で確認できる最も古い時代は、紀元前841年だからだ。
この年代は、司馬遷の『史記』の記述に基づく。

ところが、中国共産党の指導部は「4000年の歴史」でも満足できなかったようだ。
さらなる、捏造へと歩を進めていく。

*中華文明探源プロジェクトとは?

中国語では「中華文明探源工程」という。
この企画は2004年に始まり、2018年に最終報告がまとめられた。

その内容は、「今から5800年ほど前に黄河と揚子江の中・下流域や長城の外、モンゴル高原南部を流れる西遼河流域に文明が出現した。その文明が500年ほどかけて中国全土に広がり、3800年ほど前に中原地域に成熟した文明が形成され、現在まで中国文明として発展してきた」というものらしい。

当ブログが研究報告を「 」で囲み、最後を「らしい」で締めたのは、あくまで中国共産党の発表であることを明確にしたかったからだ。

これに対して、楊教授は以下のようにコメントしている。
⇒「いわゆる『中国5000年の歴史』も最初は、黄河と揚子江で生まれた文明が中国全土に広がった頃を起点とした歴史観という事だ」と。

そして、楊教授はさらに「しかし、いつの間にか、モンゴルの西遼河まで盗まれてしまったのではないか」と厳しい言葉を続けている。
教授にしてみれば、勝手にモンゴルの文明を支那の歴史捏造のために使って欲しくないのであろう。
ここにも、世界史上最大の王朝を築いたモンゴル族の末裔としての、誇りが見てとれる。

もちろん、この「歴史捏造」に関しては、欧米を始め日本の研究者は信用できないとして、批判している。

*「漢族の連続性」など存在しないし、「中国史=漢族史」なども成立しない。

これまで見てきたように、楊教授の説明によれば、「中国4000年の歴史」や「中国5000年の歴史」など戯言に過ぎない。
同様に、「漢族」などという概念も全くの作りごとである。

一般的には、漢人による王朝は「秦」「漢」「宋」「明」のみ、とされる。
「隋」や「唐」は鮮卑系であり、「元」は言うまでもなく、モンゴル族の王朝である。
ついでに書くと、女真族が「清」を建てたことを知らない日本人はいない。

なんだか、虚構に虚構を重ねることに必死な、現代のChineseが、少し可哀そうになってきた。
一生懸命に背伸びをして、虚勢を張ろうする支那人の態度を、常連の皆さんはどう思いますか?

今回は、ここまでとしよう。