「パチンコ行こう」と、剣道部の松木(仮名)が誘ってきた。
「遠慮しとく」と私。
松木はパチンコに負けるとすぐに、「金、貸してくれ」と言い出す!
面倒くさい奴でね。
「行こ、パチンコ!」
「今日はいいって。おまえ、また、◎✖会館に行くのか?」
「おう」
「松木~、◎✖会館、あんまり行かないほうがいいぞ」
「なんで」
「◎✖会館」とは、うちの学生寮から最寄りのパチンコホール。
松木に注意を促した理由は、、、、
そう、危なそうな人たちが出入りするという噂があったから。
その中に、『血だるまの・・・・』と異名をとる人物がいたそうで。
この異名に関しては、記憶はあやふや。
ん?『血がしら』だったか、、、いや、それは『鬼平』か。
今となっては、その人の正体も定かではないし、、、
ただ、寮の先輩から、そのような噂を聞いた次第。
「以前、寮にいた田中(仮名)がな、その『血だるま』さんに気に入られてな」と四年の先輩。
「血だるま!」
「ゾォ~~!」
川口の部屋で、ビール飲みながら同期だけでその話題を続ける。
「『血だるま』って、アブナイ異名だな~」
「なんか、いかにもって感じ」
「田中先輩、大丈夫か?深入りしないほうが、、、」
「まあ、あの先輩もその辺はわかってるよ」
「ん、待てよ、血だるまって「血まみれ」ってことだよな?」
「もちろん、そうだろ」
「じゃ、誰の血なんだよ?」
「ん?」
「いや、自分の血で「血まみれ」なら、、、、それ、相手にやられてるってことだろ?」
「あ、そうか、敵に殴られるか、斬られるかしてるんだ」
「ということは?」
「弱いってことだろ、『血だるま』さんは!」
「そっか、そうだよな」
で、一同、大爆笑。
この瞬間、『血だるま』さんは、怖い人から愛すべき存在に早変わり。
今、考えれば、返り血を浴びて「血まみれ」=「血だるま」のパターンもあると思うが。
それなら、『血だるま』さんの方が強いし、怖ろしいわけだが、、、
ただ、当時は、「敵にやられて血まみれ」の解釈で全員一致。
何と言うか、常にいろんな話題で盛り上がる楽しい寮生活でございました。
その後、田中先輩とその方とは別に深いつきあいも無かった様子。
というか、その方が本当にアブナイ人だったのかどうかも不明だし。
ここまでの話は、もちろん、今は昔。
11月に予定の学生寮同期会のことを心待ちにしていると、楽しかった思い出が次から次に脳裏に浮かんでくる。
学生寮っていいですよ。
本当に、おススメです。