デンマークという国は素晴らしいらしい?!
なんでも、幸福度調査ではトップ3の常連国だという。
また、2022・2023年と2年連続で「国際競争力1位」に選ばれたとのこと。
う~ん、デンマークってユートピアか?
日本の左翼やリベラルもデンマークをよく褒めたたえる。
ちなみに、デンマークは立憲君主国で、現在の国王はフレデリック10世である。
日本の左派の多くは、日本の皇室に対して批判的な態度をよくとるが、デンマークの王室は大好きのようだ。
自国の「君主」は嫌いで、他国の「君主」には敬意を払うのだろうか、日本の左翼やリベラルは?
なんだか、不思議な精神構造だ。
周知のとおり、デンマークは今でも「王国自治領」という名の「植民地」を持っている。
フェロー諸島とグリーンランドだ。
日本の左派は、大日本帝国の「過去の」植民地政策を厳しく批判するが、今日の日本には海外領土はない。
我が国のリベラルは、自国の「過去の」植民地運営には腹を立てるようだが、「現在の」デンマークのグリーンランドに対する政策には無関心なのだろうか?
グリーンランドは日本の6倍の広さがある、世界最大の島だ。
デンマークは、1721年から1953年まで、この地を植民地とした。
現在は、「自治領」という体裁だが、自治が認められている分野は少ない。
要は、実質的に、ほぼ植民地なのである。
少し具体的に言うと、グリーンランドは「デンマーク王国憲法、市民権、最高裁判所、外交・安全・防衛政策、為替・金融政策」の領域においては、完全にデンマークの管理下(=統治下)のもとにある。
独自の憲法や通貨を持たず、司法も外交もコントロールできない。
まさに、グリーンランドはデンマークの一部なのだ。
実は、今、デンマークではグリーンランドの女性たちが政府を相手に補償を求める動きがある。
その理由はなにか?
デンマーク政府は、過去に、グリーンランドの女性に避妊を強制していた。
数十年前、グリーンランドで出生数が大幅に増加した。
当然、保育所や学校や医療施設に多くの資金が必要となるため、当時のデンマークの政治家たちはグリーンランドの出産適齢期の女性たちに強制的な避妊を施す政策を実施した。
つまり、当時のデンマーク政府が社会福祉の費用を節約するために、グリーンランドの人口増加を抑制しようとしたのだ。
この記事では、具体的な方法は割愛するが、どう考えても、非人道的な措置である。
あるグリーンランド人女性は「政府のこの行為は11歳の女の子たちにまで及んだのです。『大量虐殺の試み』とさえ言えるでしょう。子どもを望んでいた女性が、子どもを授かることができなかったのです」と怒りをあらわにする。
言語の面をみてみよう。
デンマーク人が使うのは、デンマーク語である。
一方、グリーンランドでは公用語がグリーンランド語でデンマーク語も併用している。
グリーンランドの若者は、島で初等・中等教育を修了した後、デンマークに向かう。
ここで、言語の壁にぶつかったり、デンマーク人から蔑称で呼ばれたり、デンマーク人のように振舞えないことを揶揄されたりするという。
ここで、非常に残念で悲しい事実も紹介したい。
グリーンランドは自殺率が非常に高い。
この島では、年間40~60人が自殺し、人口10万人当たりに換算すると、自殺者は88人となる。
この数値は、デンマークの約9倍となる。
デンマーク王国は「幸福の国」だそうだが、その植民地のグリーンランドは「不幸の国」と呼んでもいいかもしれない。
グリーンランドの人々が自ら命を絶つ理由は様々だろう。
ただ、その一つは、デンマークとグリーンランドの間に今でも残る植民地主義的な構造である、と指摘されている。
例えば、グリーンランドの先住民の中には、幼い頃に実の家族から引き離されてデンマークに連行された人々もいる。
1960年代から、多くのグリーンランドの子供たちがデンマークの家庭へと養子に出されてきた。
今も、約500人の先住民の子供が、デンマークの家庭や施設に預けられている。
その中には、両親の同意を求めずに行われたケースもあるという。
これに対して、ある先住民は「デンマークに連れてこられた子供は、自分たちの信仰や言語や文化に触れる機会を失っています。つまり、これは『大量虐殺』なのです」と語る。
言葉も文化的帰属も奪われたグリーンランド先住民のメンタルヘルスに対する悪影響が自殺の原因だと考える研究者もいる。
デンマークは福祉制度が充実しているそうだが、先住民の言語や苦悩を理解する医療従事者やカウンセラーは少ないそうだ。
そのせいで、先住民はデンマーク人と同程度に福祉制度を利用することができず、若者、特に男性の間で自殺率が高い、と説明する専門家もいる。
こちらは、門外漢なので、これ以上は、触れることはできないが、、、、
別に、声を大にして「デンマークが悪い!」と一方的に主張したいわけではない。
要は、「幸福度が高い」とか「福祉が充実している素晴らしい国家だ」とかいう、デンマークへの高評価を耳にした際に、鵜呑みにするのではなく、その「キレイごと」の裏には、何かあるのではないかと冷静に考える態度を持ちたいと思うだけだ。
デンマークの豊かな福祉を支えているのは、もちろん、重税だ。
消費税は25%で、軽減税率も導入していない。
所得税(国税)は0% からの累進で、平均は25%、住民税(地方税)は平均で25%、そしてこれに加えて医療付加税もある。
所得が39万クローネを超えると、最大課税率は67%か68%になる。
ちなみに、自動車にかかる物品税は180%を超える!
500万の新車を購入すると、税込みで900万オーバーとなるのだ!
まさに、税金取り放題だ。
それだけ巻きあげたら、社会福祉が充実するのは当たり前だろ~、と突っ込みたくなるのはブログ主だけだろうか?!
まあ、それでも、デンマーク国民が納得しているがゆえに、幸福度調査で常に上位にあるのだろう。
人の感じ方は、それぞれ違う。
個人的には、所得が一定以上になると、約7割も税金を持っていかれるデンマークのような国に住みたいとは思わない。
ブログ主は日本が気に入っている。
と同時に、様々な指標や調査による、「◎◎ランキング」でどの国がトップ3だとか、「日本は平均以下だ」とかの報道等に触れても、まずは「そのウソ、ホント?」の態度を持ち、妄信はしないよう心掛けている。
日本には、日本人に生まれたのに、なぜか日本を貶めるのが大好きな連中がいる。
その者たちが、賞賛する国の一つが、デンマークだ。
おそらくは、福祉に特化した国家運営が気に入っているのだろう。
そして、多分、グリーンランドに対する圧政などは何も知らないのだろう、、、、本当におめでたい連中だ。
追記
再度、繰り返すが、この記事はデンマークの先住民に対する差別的な政策を一方的に非難しているわけではない。
どんな国でも、叩けば多少の埃は出るだろう。
日本にも、先住民(アイヌ)問題はある。