アポロニア(Apollonia)。
シチリアでマイケルと結婚した娘。
ソロッツォとマクラスキーを殺害した後にマイケルはシチリア島に逃れる。
その地では、ドンと友好関係にあるトマシーノの庇護のもと平穏?な日々を送る。
トマシーノ自身もトマシーノ・ファミリーをかまえるドンであり、二人の配下を護衛役として常にマイケルにつけている。
ファブリツィオとカーロである。
シチリアの田舎村をマイケルとボディーガード二人が散策中、若い娘やこどもの集団が通る。
その中の、ひと際美しい娘がアポロニア。
マイケルの視線は彼女にくぎ付け、一方のアポロニアもマイケルから目を離せない。
一目ぼれしたマイケルにファブリツィオが、こう一言。
“You got hit by the thunderbolt, eh?”
「稲妻に打たれてしまいましたね」
アポロニアが立ち去る際に、カーロも一言。
“In Sicily women are more dangerous than shotguns.”
「シチリアの女は銃よりアブナイですよ」
その後、いろいろあるが(この辺はまたの機会に)二人は親公認の仲になる。
ある日、アポロニアの自宅付近を散策する二人。
その近くにはアポロニアの親族の姿。
突然、アポロニアが躓いて態勢を崩しそうになり、その寸前をマイケルが腕を掴んで支える。
さて、この場面は映画ではとてもわかりにくいが、原作ではこれを見た彼女の母親がにんまりと笑う描写がある。
なぜ母親は微笑んだか?
これこそアポロニアのあざとさ!
そう、わざと躓いたのです!
マイケルに支えてもらうために。
自分の体を触らせるために。
この時の母親の心理描写の箇所を大雑把に訳します。
「野ヤギみたいなうちの娘がこの道で躓くわけがない。オムツをつけていたころから駆け回っていたのに。でもそうでもしないと結婚前の二人は手も握れやしないからね」
おそるべきアポロニアのあざとさ!
ここは原作を読んではじめてわかった。
カーロの指摘は正しい。
そう、シチリアの女は銃よりアブナイ!
おまけで、名前小ネタ。
Apolloniaの由来を解説します。
ギリシャ神話の太陽神Apolloからギリシャ語の男性形のApolloniosへと派生し、そこからラテン語の女性形のApolloniaになました。
フランス語形はApolline、デンマーク語形はAbeloneです。
ここは、”A Dictionary of First Names” (Oxford) を参照しました。