4月6日、日曜の朝、たまにはテレビでも、、、とリモコンを操作すると、なんか既視感のある映像が、、、
一反木綿が飛んでいるし、、、アニメの鬼太郎だろうが、明らかに自分が知る昭和の鬼太郎ではない。
途中からの視聴で、流れが見えないものの、鬼太郎や、仲間のかわうそ、さらには妖怪・海座頭(うみざとう)などの面々が登場する。
この海座頭というのが、悪い奴で、って敵役だから当たり前か、ハハハ。
常連の皆さんが、「久々に、鬼太郎ワールドを堪能するか」と思うやもしれないので、ネタバレしない程度で止めておこう。
番組終了後に、ネット検査すると、これが『ゲゲゲの鬼太郎 私の愛した歴代ゲゲゲ』という企画もの。
今年で水木しげるの没後10年になるため、数ある『ゲゲゲの鬼太郎』アニメシリーズから著名人が選んだエピソードを放送する特別番組のようだ。
それが、「2025年4月6日から日曜あさ9時よりフジテレビほかにて放送開始」とのこと。
TVer等で、見逃し配信もあるようなので、興味が湧いた方はぜひ。
ちなみに、次回、4月13日の9時30分からは、『おばけナイター』を放送。
今回は、4月6日の9時13分頃に、たまたま、フジ系列に合わせたら「あれ、これ鬼太郎?」となったわけで、、、
前半は見逃すも、鬼太郎が敵妖怪と戦って倒すまでの、手に汗握る場面は楽しく視聴したので、久々に童心に返って、気分はほのぼの、それなりに満足。
記念すべき第一話は『男!一反木綿』なるタイトル。
鬼太郎アニメ第五期の4話で、この第五期は2007年4月から2009年3月まで、全100話が放送されたそうだ。
もちろん、リアルタイムでは一切、観ていない。
天才水木しげるの代表作とされる『ゲゲゲの鬼太郎』の漫画・アニメは長い歴史をもつ。
鬼太郎ものを水木が雑誌『少年マガジン』に断続的に発表し始めたのが、昭和41年(1966年)のこと。
続いて、『ゲゲゲの鬼太郎』を『少年マガジン』に連載開始したのは、昭和43年(1968年)で、同年に早くも、テレビアニメとして登場した。
これまでに六回もアニメ化され、第六期は2018年4月から2020年3月までに、全97話が放送された。
さて、この鬼才水木しげるについて、ファンにとっては「何を今さら」と言われそうなことを、少しばかり書いてみよう。
水木は、昭和18年春に招集され、同年秋にニューブリテン島のラバウルに送られる。
昭和19年、所属の中隊が敵の空襲を受け、水木は左腕を失う。
島内のナマレにある野戦病院に移されると、その地の住民たちと交流し、「パウロ」と呼ばれ、同胞のような扱いを受けた。水木の漫画に、南洋の原住民が登場する作品があるのは、この時の体験が基になっている。
戦後、復員すると、傷痍軍人としての街頭募金や魚の配給業、輪タク(=自転車で駆動させる簡易タクシー)業など、様々な仕事を経験している。
昭和25年頃に、神戸市兵庫区でアパート経営を始めるが、この所在地が水木通りにあり、そこから「水木荘」と名付けた。
これが、後のペンネーム「水木しげる」の由来。
苦しいアパート経営の傍ら、紙芝居の世界に足を踏み入れる。
この時代の水木の師匠すじにあたるのが、加太こうじという人物で、加太によれば、ある時に「目がですな、目玉が神戸の街を歩いていたら、面白いですかな」と、水木が語ったという。
このアイデアが、後の「目玉おやじ」につながったことは言うまでもない。
加太は水木に紙芝居のノウハウを指導するなかで、過去の人気作品『ハカバ・キタロー』という怪奇物の話をしたという。
この紙芝居は、昭和8年に伊藤正美という作家が創作した作品で、これからヒントを受けた水木が『墓場鬼太郎』を生み出したと加太は書いている。
蛇足ながら、この『墓場鬼太郎』が『ゲゲゲの鬼太郎』の前身だ。
水木ファンから「わかりきったこと、書くな!」と怒鳴られそうだ、、、剣呑、剣呑!
さて、水木作品には多彩な妖怪が登場するが、実は、すべてが水木のオリジナルというわけではない。
水木自身も認めているように、今日の妖怪の雛型を提供したのは、鳥山石燕(1712~1788)なる江戸時代の浮世絵師である。
石燕の妖怪画を取材し参考にしながら、水木は自分なりの妖怪イメージを形にしていったのであろう。
関心を持った方は、ネット検索すると、石燕が描いた妖怪画像が見られるので、確認してみてはいかがか。
日本人の妖怪観に絶大な影響を与えた、この鳥山石燕は、指導者としての力量にも優れ、その門下からは喜多川歌麿、恋川春町、歌川豊春などの大物を輩出している。
当然、今年のNHK大河『べらぼう』の主人公・蔦屋重三郎は石燕とも縁があるので、今後の『べらぼう』にも稀代の妖怪絵師・石燕が登場するらしい。
話を水木しげるに戻す。
今さらではあるが、水木の本名は武良茂(むら しげる)である。
大正十一年(1922年)三月八日、鳥取県境港(さかいみなと)市入船町に生まれる。
同県の西部に位置する境港市には、ご存じ「水木しげるロード」がある。
ある漫画家との対談の中で、水木は以下のように語っている。
⇒「わたし、十五年ぐらい前から、五千年前の祖先からノックされるんですよ、しょっちゅう。『出雲国滅亡記(いずものくにめつぼうき)』をやれと言われるのです。そういう題名のことはどうこう言わないけど、大和を追われたということをものすごく残念がるのです。その残念さが伝わってくるのです、夢で」
以上の引用は、水木が60歳になる前の発言だ。
水木の霊夢(?)の内容に従えば、五千年前に大和の勢力から追い出された別の豪族がいて、それが出雲に逃れたという解釈なのだろう。
なんとも、凄い話だ。
今年は、皇紀でいうと2685年になるが、五千年前の先祖からの語りかけとは、、、スケールがデカい。
歴史素人の当ブログとしては、こういう話は、古代史研究家にまかせたい。
ただ、妖怪学の大家である水木しげるが頻繁にみた夢であるから、なんらかの事実の断片なりが隠されているのかもしれない。
さて、4月6日に、何十年振りかの『鬼太郎』を鑑賞した後、実家の本棚を漁ってみると、水木しげるに関する書籍などが二つ三つほど出てきた。
先述の古代出雲に関する夢の逸話も、その中の一冊から拾ってきたものだ。
また、休肝日読書の折に、いろいろと目を通してみよう。
本記事は、これにて締めとしたい。