日本の警察もいよいよ本気の構え。
今年、7月に全国の警察本部長を集めた会議で、警察庁の露木長官がこう発言。
「今後は部門の縦割りを排した体制を構築し、匿名・流動型犯罪グループを部門共通のターゲットとして戦略的な取り締まりを進めることが必要です」
1 トクリュウ(=匿名・流動型犯罪グループ)とは
今年1月の東京・狛江市強盗殺人事件をおこしたいわゆる「ルフィ」グループのように、匿名性が高くメンバーも入れ替え・切り捨てが早く流動性が高い犯罪グループを今年7月、警察長庁が「匿名・流動型犯罪グループ」と名付けた。
その略称が「トクリュウ」である。
2 従来の「部門の縦割り」とは
刑事部=特殊詐欺事件や強盗事件の捜査
生安部=不良少年の捜査や風俗店・賭博店の捜査
組対部=暴力団担当
交通部=暴走族担当
上記のように、捜査対象によって担当する部門が異なる体制を「部門の縦割り」という。
「ルフィ」グループを例にとると、連中が犯した強盗・詐欺事件は刑事部が担当し、連中が犯罪で得た金が風俗店・賭博店に流れている場合には、生安部が捜査するといった体制である。
この従来の「部門の縦割り」を排して、連携して捜査を進めようというのが今回の警察庁の方針である。
3 従来の都道府県警同士の縦割りも排除
従来は「発生地主義」が原則で、愛知県で起きた特殊詐欺の受け子が東京にいた場合、愛知県警の捜査員が東京に出張して捜査を行う。
今回、警察庁は全国の警察に特殊詐欺の嘱託捜査を行うチームの編成を指示。
これは、他県警からの依頼を受けて捜査を行う部隊である。
来年4月に、警視庁に200人、埼玉・千葉県警にそれぞれ70人、神奈川県警に60人、愛知県警に25人、大阪府警に40人、福岡県警に25人の嘱託捜査チームを発足させる。
これにより、受け子等が管轄地にいることがわかれば、すぐに捜査を行い、いざ検挙となった場合に発生地の警察が出張してくる形となり、従来よりも効率的な捜査が期待される。
4 ネット上のパトロールを強化
警察庁はSNSなどのパトロールを強化し、「闇バイト」や「受け子」などの表現の通報を受け付けてサイト管理者に削除を要請する。
また、サイバーパトロールセンターに委託しAIによる犯罪実行者募集情報の検索も開始した。
5 「トクリュウ」に関する匿名情報を募集
10月から、事件に関する情報を市民から匿名で通報してもらい、検挙につながった場合には情報料を払う匿名情報事業の対象も拡大した。
「トクリュウ」関連の犯罪組織の壊滅につながった場合には、最大で100万円の情報料を支払うことに決定した。
このように、ついに警察庁も本気で「トクリュウ」壊滅に向けて動き出している。